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(青天) 転換期途中の勝ち組と負け組の折り返し点

  二条城にある大政奉還が行われた広間は、当時の様子を伝える多数の人形とともに今もそのまま残っている。

 

  今回その広間が撮影に使われたのか、視聴しながらスマホで調べたがよく分からない。ただ金地に太い松を描いた見事な襖絵が慶喜の後ろに見えたので、やはり局内のセットではなく現地の広間だと思う。

 

  すると尚更、大政奉還をめぐる流れがリアルに伝わってくる。薩摩が主導する朝廷回帰の先手を打って政権を返せば、後醍醐天皇の時のようにすぐに行き詰まってしまうと読んだ慶喜

 

  ただ1つ誤算があった。司馬遼太郎もその存在をまるで奇跡でも見るかのごとく小説の中で不思議がったように、極めて怪異な公家と言える岩倉具視が返り咲いたことである。

 

  さすが慶喜と見直す動きが増えていく中で、ならば王政復古の大号令やと明治帝を動かし、錦の御旗を密かに作らせる。西郷も乗っかって江戸にテロを仕掛けて戦端を相手に開かせた。

 

  逆に慶喜は全てを見通す賢さはあれど、側近が次々と殺されて相談相手がいなくなり、重要な時に打つ手に窮してしまう。

 

  そう考えると、家柄やシガラミに縛られて愚かな家臣しか残っていない幕府は滅びて当然だったのかもしれない。

 

  一方、本来公家としては下層で、行状や態度に問題が多い岩倉具視を復帰させて中心に持ってきたことで、倒幕への流れは更に進み、合戦で錦の御旗が登場したことで津藩など裏切りが起き、慶喜は大阪から船で江戸に逃亡した。

 

  自公政権竹中平蔵その他の現代の支配層もまだ自分たちの世は続くと思い込んでおり、確かに野党の枝野や蓮舫も頼りないが、在野にもし岩倉具視のような存在が隠れており、タイミングよく表舞台に登場したらどうなるか分からない。

 

  現代が様々な価値観がひっくり返る転換期にあることは間違いなく、だから例え今が勝ち組の中にあっても最終的に転換期が終わった時には負け組になる。

 

  今回まで、岩倉具視はずっと負け組の中にいて、京都郊外の田舎で自ら炊事する日々だったが、最後は勝ち組になって自ら欧州視察団に加わり、帰国後は政治経済を一新し、後世からもその功績を高く評価されて500円札の顔になる。