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現代版十字軍の敗北

  実は私は幼児クリスチャンで、洗礼名はクレルヴォーのベルナルドゥスという。15歳頃まではほぼ毎週ミサに行き、若者の集まりに参加し、聖書は新約旧約とも読んだので一通り知識はある方である。

 

  なぜ離れたか? 理由はいずれ書くかもしれないが、多くの人とそこはあまり違わないと思う。今回ふと思い出したのは、昨今の世界情勢を見る上で、キリスト教がある視点を提供すると思えたからで、それはツィッター(現X)の量では収まらないのでブログに切り替えた。

 

  まず、上述したクレルヴォー(修道院)のベルナルドゥスについては、日本では知名度が低いが、フランスの大聖人でヨーロッパでは知らない人の方が少ない。英語読みだとバーナード、犬の名前でセント・バーナードもある。

 

  頭が良くて論争に強く、異端者に論じ勝ち、人気が高く、著書も多い。そんなベルナルドゥスをバチカンも頼りにして、第2回十字軍の招集を彼に呼び掛けさせた。その効果は絶大で、ヨーロッパ中の王侯貴族が応じて一大軍勢となり、聖地奪還を唱えてエルサレムを目指した。

 

  その結果はどうだったか? 社会科で習った通り、計10回の十字軍遠征は第1回こそ勝ったものの、第2回以降は負け続けた。当然ベルナルドゥスも落胆した。なぜ失敗したのか? 敗因は軍内の規律の乱れにあるとしたそうだが、それは神の罰となるのだろうか?

 

  やがて十字軍は呼び掛けられなくなり、逆にイスラムに学ぶべきところは学ぼうと変わり、ルネサンスの芸術やガリレオら科学が勃興するようになった。

 

  その後、世界は欧米がリードするようになったが、それで終わった訳ではない。ロシアとヨーロッパの間にあるウクライナをめぐって、今や戦争が3年も続いている。

 

  西側のNATOとは何か? EUの軍事版がNATOとのことだが、それはまさしく現代の十字軍ではないのか?

 

  更に中東では、イスラエル軍によるガザ市民への大量虐殺が問題になっているが、これも聖地奪還を旗印とする十字軍と重なる。

 

  重要なことは、どちらの現代版十字軍もうまくいってなく、まるで第2回十字軍のように敗れかけている。

 

   ベルナルドゥスならば何と言うだろうか?

 

  例えコンセプトが良くてヨーロッパ中がまとまっても、絶対に勝利するとは限らないのである。神はキリスト教だけに微笑むわけではない。敵側にも神が認めるに足る条件が揃えば、勝利の栄光を与えられる。

 

  日本に布教に来たザビエルが返答に窮したのもまさにそこで、「オラのご先祖さまたちは立派だったのに天国に行けないのはおかしい」と猛抗議された。

 

  キリスト教組織の一員になっても悪い人はいるし、事実様々な問題が噴出している。そこは今回あえて具体的には触れないけれども、より広く道義的に倫理的に正しいか否かという視点を持たなければならない。

 

  その意味で、ウクライナ問題は2014年の約束を反古にしたと主張するロシアの言い分が正しければ、たとえ現代版十字軍とて正当性は失うし、ガザだって何の罪もない市民を巻き添えにした虐殺は世界中の非難を受けて当然である。

 

  それでは、現代版第2回十字軍の敗北後どうなるのか?

 

  過去の例と同じく第3回、第4回としつこく続くか?

 

  それとも、これも過去例通りだが十字軍を諦めて別の道、つまりBRICSを認めて路線変更をするか?

 

  日本のネット上では盛んにユダヤシオニスト陰謀論が流れているけれども、日本人にウケやすい言葉や狭い範囲の知識の中だけでは論じられる話も自ずと限られてくる。

 

  たまたま私は少し広い知識があるので、これらの議論に深入りせず見ることができ、このようにベルナルドゥスや十字軍をキーワードにしている。

 

 ただし読み手はほぼいない。スルーされ、なかったことにされる。そして、どの問題もそうだが解決はしない。誰もが負けず嫌いで自分が一番と思っているので、こんな話を目にしても無視する。まとまらない。