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自国文化を高めた前例に学べ!

 閉塞状況を打破するためには、他の人や国の優れた知恵に学ぶという方法がある。日本も過去、渡来人や遣唐使の派遣をはじめ、南蛮文化や欧米文化に学んだものだった。ヨーロッパも長い中世が終わる頃には中東地域からの科学やギリシャ・ローマ時代の文化の見直しなどがあった。

 

 学ぼうとする人にも賢い人々が多く、語学に堪能だった吉備真備空海、江戸時代にも蘭学を学ぶ医者や芸術家が輩出し、明治時代は更に企業家や軍人などが帰国後に活躍した。

 

 しかし、学ぶ相手国の中が混乱したり廃れたために学ぶことを中止し、自国内で研鑽を高めるよう進言する場合も賢い人が多い。平安時代遣唐使中止を提言した菅原道真がその典型で、後に国風文化が花開いた。江戸時代にも徳川政権初期に活躍した天海や林羅山など賢い人が現れ、鎖国後でも日本文化は各地で開花し、浮世絵は遠くヨーロッパでゴッホを感動させ真似させたりもした。

 

 ヨーロッパの近代の場合も、当初こそ中東地域から流れてきた火薬やアラビア数字などを参考にしたものの、イスラム教が強まる中で逆に宗教に疑問を持った哲学者や科学者が現れ、近代哲学や実験科学、さらに現代思想へとヨーロッパ内で高めていった。

 

 では今の日本はどうか? 戦後こそアメリカのコカ・コーラハンバーガー、自由主義的な映画や文化、政治などを輸入したものの、もはや何でもアメリカに頼る時代でもない。にも拘わらず平成の頃にはTPPへの参加を無理やり進めようとしたり、これは自国内の解決努力をせずTPP参加国のルールを押し付ける甚だ愚かな政策で今や聞かれなくなったが、今度は親中派議員を中心に中国に何でも頼ろうとして香港問題を契機に今や非難の嵐が巻き起こっている。

 

 中国は一見、日本より活力があるように見えるが知恵や技術、思想哲学的にも欧米や日本より上ではない。あんな所に頼ったり学んだりして良くなることはない。今までの美徳だったものが逆になくなっていくだけである。

 

 ではどうするべきだと言うのか⁉と声を荒げる前に、上記を振り返ってみよう。歴史は教えている。菅原道真がそうしたように、中国に頼るのをやめ、近代欧米がそうしたように自国内の知を高めていくのである。そのためにも視野を広げて掘り下げ、評価し、採用していく。

 

 ただ現状では目の前に素晴らしい知恵があっても気付かず大勢に従うだけの日本人がなんと多いことか。