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(麒麟がくる) 腐敗を正そうとする光秀

  昨晩の大河「麒麟がくる」。

 

  晴れて室町幕府の新奉行となった明智十兵衛光秀だが、幕府内の土地の横領や寺社からの賄賂など、内部のあまりの腐敗ぶりに腹を立てて、親友の細川藤孝に愚痴るだけで収まらず、まずは織田信長の所に行って何とかできないか話をした。

 

  少しとぼけた顔で、「それはそなたの仕事だろう?」と返す信長。自分の家臣になることを断り、幕府の家臣となった光秀こそこの腐敗に取り組むべきであり、自分は朝倉討伐に全力を注ぐと。

 

  光秀の頭の中では、このまま信長が京都に留まって足利将軍家を支えてくれるものと思っていたが、信長とて領国の美濃を朝倉に攻められては全ての基盤を失うことになるから見過ごす訳にいかないことは道理だ。

 

  このドラマでは、美濃国守護で贅沢三昧だった土岐家の腐敗をはじめ、一族が殺し合う斎藤家の腐敗、これも同族相争う織田氏の腐敗、将軍まで惨殺した三好氏の腐敗、更にユースケ演じる朝倉氏の腐敗など様々な腐敗が描かれていて、その度に長谷川博巳演じる明智光秀が清廉に見えてくる。

 

  もしドラマのテーマが、腐敗を問題視して直そうとする光秀の姿を描くものならば、ラストの本能寺の変も、単なる逆臣劇ではなく、傲慢になって腐敗しかけた信長を討ち果たすような感じで、もっと好意的に演出するだろう。

 

 現代でもブラック企業パワハラやセクハラをはじめ、イジメ問題、不正など様々な腐敗がある。もしこんな光秀がいたならば、見て見ぬふりはせず対応すると思う。

 

  来週か再来週に行われるであろう、幕府腐敗の根幹である摂津晴門をどう放逐するか見ものである。その手法の中に、未来の本能寺にもつながる判断基準が見えるかもしれない。