草分け中

試論や試案のサブサイト。メインは「状態の秘法」合知篇(深く)鼎道篇(広く)等

戦術を活用すること

 ビジネスでも何でも、見事な勝利劇の裏にはたいてい戦術がある。その戦術は古来から重要視されている本当の合戦や戦争でのいわゆる兵法と相通じている。つまり兵法を学ぶことは現代でも意義がある。

 

 よく聞く話ではソフトバンク会長の孫正義氏がご先祖の孫子の兵法を参考にしているとのことだが、例えば彼我の情報を最重要視すれば(敵を知り、己を知れば)百戦危うからずになるというものがある。

f:id:reigan3941:20201024050455p:plain

 その延長線上に、三国志で蜀の老将黄忠が魏軍に対して使った「驕兵(きょうへい)の計」という戦術がある。これは、わざと負けたフリをしながら幾つもの自陣が次々と破られて退却し、関所まで撤退する。追う敵軍は相次ぐ勝利に歓びつつ、関所前に来ると完全に油断しきって寝る兵も多かった。そこへ黄忠率いる精鋭が関所の門から出て夜襲をかけ、逃げる魏軍を追い続けて今まで奪われた陣も全て取り返し、更に各陣に運びこまれた兵糧や物資も手に入れてしまうという見事な勝利劇である。

 

 仕事でいうと支店で依怙贔屓する上役が理不尽な人事や差配をし続け(具体的にはベテランを窓際に追いやって新人の女子や若手を引き上げたり、その若手にもお世辞が足りないとすぐ冷遇したり、支店の利益を一人占めしたり等)、それが日々の記録にも残り続け、職場がほぼ強引な自分色に染まってきたところで本社の幹部会に告発する。幹部同士の間でも派閥争いがあるのでその上役を敵視する側の人たちは証拠となる記録を基に一斉に彼を責め立てて更迭、全てが一新されてしまう。

 

  全国の映画館がコロナ禍でスカスカになったところへ敢えて「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と興行に打って出て、今や前代未聞の数字を叩き出した映画「鬼滅の刃」もこの勝利劇に連なるし、その鬼滅より話題が上回った宮崎美子のカレンダーも、61歳のビキニなんて誰が見るかという常識があったからこその衝撃が大きかったのである。

 

 ただどんな戦法でも、勝敗は紙一重を念頭に真剣に取り組み、敵が嘘を信じて騙されるように、最後の勝利を得るまで敗者や隠者を演じ続けていきなり襲撃を仕掛けなければならない。

 

 さて、昔つくったスライドの中に戦術史と哲学史を扱ったものがあった。個々の戦術や哲学に詳しくないと読み進められず、たぶんスラスラと読めるのは故渡部昇一先生ぐらいだろう。ただウィキペディアで調べながら読めば言わんとしていることは分かると思う。人類の精神史の成長と哲学史とは一致しており、これは戦術史とも重なるというものである。

 

 
 最後のニュータイプ論はVer.2で新しく加えたもので、地球温暖化や米中摩擦など不透明な現代の諸問題には、従来の知識や戦術も当然大事だが、それらを超えた新発想や新基準(未知の+α)で取り組んでいかなければならないとも思って作った。