草分け中

試論や試案のサブサイト。メインは「状態の秘法」合知篇(深く)鼎道篇(広く)等

菅総理で何かが変わるか?

 菅政権が誕生した。菅総理には就任早々、話題になった言葉がある。手に「自助 共助 公助」と書かれたフリップを持ち、

 

「まず自分でできることはまず自分でやる。自分でできなくなったらまずは家族とか地域で支えてもらう。そしてそれでもダメであればそれは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものを行なっていきたいと思います」

 

 発言後、世間は賛成派と反対派に真っ二つに分かれて議論が沸騰した。「公助を後回しにするとはけしからん!」「先に自助なんて当たり前だ!」「以前から自民党の綱領にあったことを述べただけ」「いや菅総理の独自色を加えている」

 

 私のブログは一貫して、1980年代末から大哲学者や大思想家がいなくなった現象を憂いているが、最後の巨人には1990年前後に亡くなったポスト構造主義デリダだけでなく、自助で有名な新自由主義ハイエクも含まれている。そしてこの30年間はポスト構造主義新自由主義に替わる知的産物は何も出ず、小粒な人たちが出ては消えていた。

 

 つまり面白くない。「ラーメン発見伝」のセリフで言えば「ワクワク、ドキドキがない」。しょうがないので自分がワクワク、ドキドキするものという基準でスライドを作り続けている。最高級の素材で強くこだわったラーメンが万人ウケしない矛盾が指摘されていることを承知の上で。それでも昔は料理界に伝説の巨人がいた通り、哲学思想にも大物が実在していた。

 

 この30年間のニセモノの時代を叩き上げの菅総理が壊し屋の河野大臣と一緒にホンモノの時代に変えるのかどうか? 解説者抜きにラジオで彼らが発言する音声を直接聴いてきた中ではそう期待できた。本気にならないでコロナや米中摩擦の中を進める訳がない。

 

 はじめから負けが見えている石破や岸田が発する選挙中の声には明らかに重みが無かった。同時期に行われた立憲民主党の枝野代表の選挙中の声はもっと軽く、ただ新自由主義はいけないと繰り返すのみで、代替するビジョンは皆無だった。

 

 最後に冒頭の菅総理のセリフをもう一度精査すると、「まずは自助」と言って旧来の自民党の重鎮たちに配慮している。次の共助と公助に順番をつけたところがアレンジと言われているが、特に小泉竹中新自由主義路線の場合は小さな政府を目指して福祉面は削ってきた。その弊害が明らかになっても何もできなかった安倍麻生政権だったが、例の10万円給付時の渋りに渋った挙げ句の実行で流れが若干変わった。

 

 今の嘘のような安倍礼賛には外交や病気だけでなく、この全国民への支給という公助も関係していると見たからこそ、携帯電話代の負担軽減や縦割り110番など打ち出しているかもしれない。知恵を出し、良いものは実行する。そうするうちに世の中が知的に変わってゆく。いや、知を重んじずして未来はない。

 

 それでは最新のスライド、「メタ哲創世記」をどうぞ。