草分け中

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異常な状態に陥った時点で負け

  状態の研究を始めて30年になる。社会学者のパーソンズも晩年に取り組んだらしいと読んだことがあるが、状態という切り口は結構奥が深くて面白い。

 

  例えば比較的新しい言い方の「マウントをとる」状態も、韓国が日本に対して、中国が欧米に対してマウントをとろうとする時、特に自国に何か優れたものがある訳ではないのに状態上はマウントをとろうとするから滑稽に見えるものだ。

 

  「中国だけがコロナに勝った」と宣言しても、「いやいや今年は中国の一人負けの年ですやん」とツッコミたくなる。そして実質この1年で世界が勝者と認めた国は、ある天才の若者(オードリー・タン)を政府が抜擢して感染者数を劇的に押さえた台湾である。しかし台湾は中国ほどマウントをとる状態にはなろうとしない。

 

  ところで、職場のブラック上司というものは必要悪という見方が多いが、彼らも無駄にマウントをとろうとするからドン引きされる。部下の冤罪を仕立てあげたり、微罪を重罪に仕立てあげたり、数行で足りる指導が長文になったり、まるで悪霊にとりつかれたかのように異常な状態に陥る。

 

  パワハラの原因を検索しても曖昧な説明が多く、結局わからないのでなくならない。やはりパワハラはイジメと同じで悪霊の仕業という見方で良いのかと思ったりする。しかし、職場のパワハラは今ややってしまった時点でほぼアウトになる。録画、録音されたら証拠になるし、まして長文のラインやメールは後々裁判になった際に有力な証拠になり得るので墓穴を掘ったも同然である。

 

  本人はハラスメントを実行して一時的にはスッキリしたかもしれないが、部下をはじめ周囲や社長が見て客観的に異常な状態に陥ったと判断されれば、それで勝負は決している。ただし、この異常な状態が放置されて社長も誰も注意是正しなければ、自浄能力のないブラック企業ということになる。