梶原景時の最後は、この大河で一番視たかった箇所だが細かく描かれていて満足した。
脚本家の三谷氏は景時に同情的なためか中村獅童を当て、その最期のシーンも描かず解説で触れたのみにした。
しかし、往年の義経ファンからすれば景時は平家追討の一番の功労者を讒言で陥れた憎い奴であり、義経死後も忠臣面して同僚の御家人を嵌めまくった悪人である。
同じキャラは現代のブラック企業にも存在しており、トップの猜疑心に付け入って「良い社員に見えますが実は謀反を企んでますよ」とか「これが証拠です」と捏造した資料を並べる。その実、社内の派閥争いを利用してどちらからも賄賂をもらったり、自身の享楽のために会社や会社のカネを利用したりする。
そんな悪人は「憎まれっ子、世に憚る」という諺の通りなかなかしぶといものだが、今回のように社員の多くが署名してトップに訴状を出すという方法も有効打となり得る。
あとトップが代替わりした直後もタイミングである。何せそんな悪人は景時のセリフのように自信過剰なところがある。計算違いを起こさせるには未知数の新トップを使うのも手である。
以上、いろいろ書いたが、筆者自身が景時のような立ち位置の者に嵌められて痛い目にあったのでまだまだ書き足りないのが本音である。
何はともあれ、景時が東海道で討たれてよかった。現代の景時モドキも署名を集めれば何千何万と集まるだろうが、トップが健在な限り訴状も破り捨てられる。
代替わりのタイミングを待つしかない。
話は変わるが、代替わりといえば今の政府も、安倍元総理の急逝でにっくき竹中平蔵(平三ではない)も早々に退場を決めた。平蔵と平三、どちらも憎まれ役という点では同じだが、平蔵も景時のような展開になると見越して居座るのをすぐにやめた。
あと、前半の頼家が忠臣安達の妻を奪おうとして政子や義時に叱られた場面を見て、個人的に思うところがあった。
伝記作家の小島直記氏や経団連の平岩外四氏の2人が口を揃えてメリメ著「マテオ・ファルコネ」を絶賛した理由。あんな、悪いことをしたからといって実の息子を銃で殺すような父親の話のどこが良いのかと疑問だった。
↓
しかし、昭和から平成に変わる当時、無能な後継者に頭を悩ませるお歴々が多かったため、英断を振るって処罰し、有能な人材を抜擢する考えから評価したのだったら、いちおう納得できる。
それでもあの頃から若者が苦労し始め、ついに第三次ベビーブームが起きなかったのは事実。また目立つ起業家も多く潰された。グッドウィルやライブドアなど。若者に辛い時代を始めた真犯人の1人ではある。