草分け中

試論や試案のサブサイト。メインは「状態の秘法」合知篇(深く)鼎道篇(広く)等

昭和と平成の流れから令和を考える

  令和はどんな時代になるのか? 池上彰山本七平の話から導き出した結論がある。

 

1、平成の30年間を池上彰がテレビ番組で解説したところによると、大きな事件や事故が起こっては再発を防ごうと制度を大きく変えることの繰り返しだったという。

 

2、昭和については、ベストセラー「日本人とユダヤ人」の著者、山本七平が15年ごとに変わってきたとまとめた。

 

・昭和5~20年は戦争の時代

・昭和20~35年は戦後復興の時代

・昭和35~50年は高度成長の時代

・昭和50~64年は低成長の時代

 

3、ここから更に2つの話を加えた。

 

「次の15年がどんな時代になるかは前の15年の間に準備されているが、誰もが分からず今の15年がずっと続くと思い込んでいるが、後になって振り返ると大きく変わったことに気付く」

 

「人間に例えると、戦後復興の15年を少年期、高度成長の15年を青年期、低成長の15年を壮年期に例えられるから、次は老年期になるだろう」

 

4、平成を知らず山本氏は故人となったが、池上氏がまとめた30年、つまり15年の倍数は、まさしく老人が大病や怪我を患っては治療を繰り返す様に似ている。このまま長生きしてほしい中、突如平成天皇は息子に代を譲ると発表した。

 

5、誰もが平成の延長で令和を見ている。確かに、戦争中はこのまま戦争が続くと思っていたら敗戦を迎え次の15年を迎えた。ずっと焦土の焼け野原が続くと思っていたら次は高度成長の15年がきた。ずっと好景気が続くと思っていたら次は低成長の15年になった。低成長ながらも安定し続けると思っていたら、平成の長いデフレ30年になった。このまま後期高齢者のような時代が続くと思っていたら、令和になってそうではなくなる。

 

6、来年は東京オリンピック。無事に迎えれば取り敢えず盛り上がる。そしてオリンピック後の反動を心配する声があるが、その後は大阪万博がある。一方で台風や大地震など自然災害も油断できない。そしてますます進む少子高齢化や借金財政。

 

7、平成のような再発防止、言い換えれば対症療法ではなくなると令和は考えられる。対症療法をしようにも、高齢者過ぎて治癒力や基礎体力がないのである。ではどうするのか? 前にもそんな時代はなかったのか?

 

8、例えばヨーロッパの歴史で、長い中世が晩期を迎えた頃、コペルニクスガリレオニュートンなどの科学者が輩出している中で、伝統的なキリスト教側は「地球が宇宙の中心」、「神が人間を自分に似せて作った」と言い続けても説得力を失っていった。やがて科学とは折り合いをつけつつ、権威を保とうと対症療法的な繰り返しを行っていったが、その様子に似ている。一方で近代ヨーロッパは、宗教ではなく哲学から経済学や社会学政治学などへ広げ、具体的な近代社会をつくっていった。

 

9、日本は江戸幕府の対症療法的な改革の繰り返しに見切りをつけ、明治維新でヨーロッパの文化や文明を受け入れて近代化に成功した。

 

10、現代は、旧来の枠組みに収まらないものが非常に多いにも関わらず実は誤魔化し続けている。分かりやすいのは1995年に登場したウィンドウズ95以来のネット社会やスマホ文化だが、我々が習っている教科書や大学のテキストに出てくる哲学者はデリダで止まったままであり、1995年より前のものである。今やアフリカを含めた世界の隅々にまでスマホが広がり、動画で日本のことも知られていることを前提とした新大系はまだ現れてなく、旧大系の部分修正を繰り返すだけである。

 

11、旧大系を対症療法しながら維持する心理も分からなくもないが、徐々に新大系は姿を現しつつある。最近の例で言えば神戸の東須磨小学校の事案だが、教師数人による同僚教師への暴行や傷害を行うことがいかにリスクを読んでいない愚かなことか、動画に記録したことが証拠となってやがて自分達に返ってくる危険性をなぜ知らなかったかが嘲笑の的になっている。

 

12、同様に韓国の文一派も根拠のない徴用工問題を前面に出して日本からカネを引き出せないどころか世界に恥を晒し、やるべき経済政策をさぼって退陣間際なのもリスクを読めていなかった。

 

13、芸能界でも人気者がたった一言の失言で終わったりする。

 

14、立派な肩書きをもった学者の発言がヤフーに載ると、肩書きも実名も不明だがもっと高度な考え方をもった人によるコメントで否定されて恥をかく。否定のされ方は漫画「北斗の拳」で例えると、弱点の秘孔(矛盾)を突いて爆死させる北斗神拳型や、あれもダメ、これもダメとズタズタに切り裂く南斗聖拳型、強烈な圧で消滅させる元斗皇拳型などがある。やられる側もこの漫画のような雑魚(ザコ)に近い。国益よりも中益や韓益を優先するような東大教授や良識派と呼ばれる知識人など。

 

15、新聞の社説や解説よりも、ネットの上位意見を参考にする人が増えると、売れないので潰れ、代わりに注目度が高いものに価値がつく。

 

16、新しい価値が力をもつと、政治になり、ようやく変わっていく。つまり対症療法ではなくなる。代わりの人や物、方法などが中心になる。

 

 

 

無意識にアニメが政治化する

  現代心理学の創始者フロイトは、患者の話に耳を傾けて幼児期のトラウマを無意識から意識に引き上げることで治療した。弟子の1人ユングは、昔話や物語の世界も無意識に影響していると説いたが、ならばアニメの世界も同様なのではないだろうか? いわばアニメ精神分析である。

 

  中でも中高年男性が若い頃に大人気だった「機動戦士ガンダム」は、極めて大勢の人々の無意識に潜在し、集合無意識となって現代社会や政治に善かれ悪しかれ深く関係している。

 

  その1つの現れが前回述べた日韓摩擦とガンダムの関係なのだが、これを無意識から意識に引き上げて相対化しないままであれば、遠からず韓国はジオン公国と同じ末路を歩むことになると思う。

 

    今回は、ユング心理学の柱の1つ、性格分析でガンダムの主要キャラクターを考えてみたい。

 

  まず2つの傾向、内向性と外向性だが、主人公のアムロは誰もが同意する通り内向的である。ただ機械関係になるとマグネットコーティングの時にエンジニアと楽しく専門的な会話をしていた通り外向感覚型で、戦闘時はその真裏の内向直観型、このアニメでいうところのニュータイプになる。

 

  後半の重要人物、ララァも同じ内向直観型で、だからこそアムロとは同種で惹かれあった。アムロの永遠のライバル、シャアは軍の高官でもあり、ララァのパートナーでもあることから、真裏の外向感覚型。ホワイトベースの若き艦長ブライトは、次作でシャアと共闘する通り外向感覚型である。

 

  ユング心理学では女性のほとんどは感情型とするが、兄シャアとのことを隠し続けるセイラは内向感情型で、戦闘時は真裏の外向思考型となってオペレーターやパイロットととして活躍する。セイラとは表面上合わないカイは普段は外向思考型で現実的な批判や愚痴が多いが、ミハルとの悲恋の際は表には出せない内向感情型となった。

 

  ハヤトも男性らしく思考型だが、アムロへのライバル意識に僻む内向思考型で、戦後は真裏にあたる外向感情型のフラウボゥと結婚した。

 

  ここで前回同様、日韓摩擦の話に移ると、韓国自体は論理的思考(外向思考)ができない感情的な国と言われているが、文在寅はそんなに感情的にはなっておらず、かといってよく考えている訳でもないので感情か思考かという軸には当たらない。外向か内向かといえば「ぼっち飯」が好きなので内向である。そして直観か感覚かといえば、選挙戦術的には外向感覚型で勝ったものの、真裏に潜む内向直観型で、積弊精算を行い、有能な役人や保守派を一掃したのだろう。この意味では地球連邦を否定したジオンに近いし、総帥ギレンがヒトラーの尻尾と言われた通りナチスにも通じる。メインサイトの大系では哲学者ニーチェからナチスに至るところもよく分かるが、どこかで終息させなければ暴走による被害は拡大する。

 

  地球に対するスペースノイドの特殊性から実存主義同様にジオンが独立戦争を起こしたように、文在寅朝鮮民族を特別視して南北統一を掲げ、南北分断を支える韓国の財閥系企業を敵視し、さらには財閥を支援する日本を敵視した。

 

  そこからスタートして、慰安婦像を真似た徴用工像(ザク)の量産、当初は遺憾しか言わない日本への優越感などで知らず知らずガンダムに近づき、やがて「ホワイト」、「3」、「G」などのキーワードで逆転されると、これもガンダムに重なった。ソーラパネル兵器のようなボードを並べた不買運動、あまり効いてないのに効いたかのようなギレンのアジ演説「もはや形骸である」「あえて言おう、カスである」なども今の韓国と同じになった。

 

  だからこそ今後はガンダムの終盤と同様になるとやはり思う。すでに先日、左派だけが得意としたデモ戦術のはずが、まさかの保守派による大規模な文在寅弾劾デモが実現し、さながらガンダムでの最終宇宙戦争のようだった。

 

  最終回のキーワード、ジオン内部の内輪揉めや脱出などにまったく違和感はない。日本としてはガンダムとの符合をもし知ったなら、終戦協定にあたるものを用意しておいた方がよい。

 

 

日韓摩擦は何故ガンダムになるのか?


 連日ネットを賑わす韓国関連のニュースだが、先日ある閃きをヤフコメに載せたところ好評だったので、ここにその補足的な考察を書く。まずは記事について。

 

f:id:reigan3941:20191003141135p:plain

 

 このブログの初期にはよく「歴史の繰り返し」説を紹介していた。なぜ歴史は繰り返すのか? ユング心理学的な説明だと深層意識のせいになるが、前の基になる段階の状況がまずあり、過去に似たような流れがあると、知らず知らず次段階の選択が過去に似たような展開になると考える。この話を応用すると、日韓問題は「機動戦士ガンダム」のストーリーが両国の中年世代の深層意識に潜在しているからとなる。

 

 つまり、ガンダムで有名な「地球の重力に魂を引かれるな」というスペースノイドのセリフが、韓国では親日を糾弾する時に使われ(日本でも東京の女性と結婚した大阪出身の芸能人を関西人が非難する時に使う)、文在寅が大統領選挙で「南北統一」を叫んだ時、これは朝鮮民族の東西冷戦体制からの独立とイコールになったのである。

 

 そこから韓国はガンダムのジオン独立戦争の展開に近づいていく。慰安婦像や徴用工像の大量生産は、当事者たちの意図は別にあれど、潜在意識ではジオンの量産型ザクに重なり、あの地味な色、弱々しさ、数による圧倒などが妙に符合することになる。

 

 その基段階の次段階の選択として日本は、連邦軍の極秘作戦、ホワイト、3という数字を知らず知らず選び、7月の反撃という形になった。G ソミアという名称も、GアーマーやGスカイ、Gブルなどに近過ぎる偶然だが、非常に印象強いものになった。

 

 そして不買運動のボードとソーラパネルの一致だが、これも補足すると旭日旗への韓国人の妙なこだわりが、ガンダムでのソーラ攻撃の応酬と重なる。「あれは、憎しみの光だ」と。

 

 最後に10月を1年戦争の最終月と予想した件だが、これはまだ分からない。レーダー照射はもう少し後だったし、ホワイト除外が7月だったのを考えると、11月から12月にかけてかもしれない。ただガンダムの話は52話の予定が視聴率が振るわず43話で終わったので、1年戦争といえどもう少し短い可能性もある。

 

 いずれにせよ、出し尽くした感のある文政権にもはや使えるカードはないと言われ、サムスン他財閥企業も青息吐息、高純度フッ化水素もまだなく、ウォン暴落も近い。裕福な層や有能な若者はすでに海外へ脱出し、ネットには「韓国は滅びるのですか?」と書かれる始末。世界からも出場を棄権しただけの世界的プレーヤー、クリロナへの執拗な中傷や中国サッカー大会で優勝カップを踏みつけたり、東京五輪への科学的根拠に乏しい放射能攻撃など異常性が広く知れ渡ってしまった。

 

 大逆転の芽はないと思われ、親韓的だった新聞や学者も見放し始めた。ジオン公国の場合は、連邦と早期に和睦しようとした父デギンを息子ギレンが殺し、それを妹のキシリアが父殺しの大義名分から殺し、ザビ家の血統を残すためと言って自分だけ脱出しようとすると、シャアが自ら大砲で殺すというゴタゴタぶりだった。

 

 もし韓国政府の潜在意識にそれが残っていれば、予想される今後の展開は、夏に少し折れかけたようにムン大統領が通貨スワップなどが関連して水面下で日米に降ろうとし、それを知った強情な側近がこの話をある形で流れさせてムン失脚、そこへキシリアならぬ康京和がムンの弔い合戦の旗を挙げるも失敗、という感じになる。

 

 ただ上記ガンダムの話を日韓両国がよく知って、意識の方へ上げて潜在意識ではないようにすれば、この展開もなくなる。

 

組織は腐る?

 組織の全てが悪いわけではない。良い組織、あるいは良い組織のトップとは、末端の構成員の困っていることを助けてくれるようにできている。前の悪いトップと代わって今度のトップは良いと言われる場合はそうだ。

 

 しかし、良いトップには良い幹部や側近が必要なはずが、悪い幹部や側近には当然悪いトップの方が良く、良いトップは困る。

 

 なぜなら悪い幹部や側近は立場上賄賂を受け取ったり汚れ役を担うことが多く、清廉潔白なトップとは合わないからである。もし良いトップが厳しく口出しが多いと、悪い幹部や側近は排除に動くこともある。

 

 ただ、悪いトップと悪い幹部のままでは、組織の末端はやってられない。ブラックな職場を理由に退職したり、居続けても好き勝手なことをやったりする。

 

 理想なのは、良い組織と良い現場なのだが、政治の世界では腐敗防止のために定期的な選挙がいちおうある。また役人にも民間より厳しいルールがある。選挙が機能していない国、検索すればすぐ分かるがロシアや中国などは腐敗が深刻な問題になっている。

 

 日本でも依然ブラック企業の問題は大きい。賄賂や不正にも頭は使っているが、良いアイデアを絞り出す大脳新皮質の部分ではなく、むしろ欲や見栄に関わる部分の方であり、人間など高等的な動物ではなく、下等な生き物に近くなる。深海魚のようなブラック企業もある。大きな口、鋭い歯、小さな目、小さな脳、アンバランスな形。

 

 まだ調べ方が甘いのかもしれないが、これはという組織、人物、思想、知恵、教養にいまだ出会わない。真逆のものの方が多い。もう少し時間が必要なのかもしれない。腐敗と反乱、鎮圧の失敗、混乱の拡大、そんな中から何か出てくるのだろう。何も出て来ないかもしれないが、身体でもばい菌と白血球との戦いがあり、人は栄養をとり、消毒をする。

 

 

旧弊打破の功罪

  今年の大河ドラマ「いだてん」には様々な“反対派”が登場する。初期にはスポーツの普及そのものに反対する人、次にオリンピック参加に反対する人、そして女子スポーツの普及に反対する人、さらに日本でオリンピックを開催することに反対する人。彼ら反対派にも言い分はあり、日本人にはまだ早い、体格が違いすぎる、女子には子を産み育てる役割がある、等。しかし結局は反対派は敗れ、嘉納治五郎田畑政治が勝っていくという筋書きである。

 

  ここまではメインサイトに今日書いた話で、続きはここに書く。

 

  新しい取り組みに反対する人々は旧来の伝統に基づいた思考で出る杭を潰そうとする。実際、潰された杭は数多い。「いだてん」の場合、欧米の先行例を追う形なので潰されにくく、また試合での勝利や熱狂の後押し、嘉納治五郎そのものがレジェンドだったりと条件が良い。

 

  一方、現代日本はという話に移る前に話題の韓国を書く。あちらも旧弊打破を題目に財閥副会長を逮捕したり保守派を粛正したり、親日派を一掃したりといろいろ聞くが、代替するものがしっかりしていない。財閥に代わる何か、左遷した役人に代わる誰か、親日に代わる親北としても具体的な政治ビジョンがない。

 

  韓国は感情的とよく聞くが、むしろ大脳新皮質による「もし~れば、~する」をフル活用しないので、GーSOMIAを破棄したり不買運動で自分の首を絞めたりする。将棋で言えば目の前の歩を取り合うだけのヘボ将棋になる。これらは以前の日本の野党政権も同じだ。韓国イコールヘボ将棋が真実なら、その結果は王将の孤立と詰みである。

 

  諸問題が解決しない原因を旧弊に求めること自体は間違っていないが、旧弊に代わる仕組みや人材について、大脳新皮質をフル活用して取り組むことを前提に、旧弊を改めていく。逆に言えば代替するものがなければ安直に旧弊を破壊してはならない。

 

  

    

昭和から平成への老衰、令和はシーラカンスになっていくのか

池上彰氏の番組によると、平成の30年間とは大きな事件や事故が起きては再発防止のために法律をつくる繰り返しだった。これは昭和の63年間とは異なる。

 

山本七平氏は昭和を15年周期で解説し、それぞれ“青年”、“壮年”、“老年”と分類していた。このブログでも紹介し、最後の老年をどう見るかについては否定的意見もあるが、今になって振り返れば、池上彰氏の見立てに沿って、病気や怪我で全身治療中の姿があてはまっている。

昭和の15年周期説 - 賢者のつもり

1915年から1930年までが「大正デモクラシーの時代」

1930年から1945年までが「軍国主義の時代」

1945年から1960年までが「戦後民主主義の時代」

1960年から1975年までが「高度成長の時代」

1975年から1990年までが「低成長の時代」

 

 さて、1990年から2020年までの平成30年間に、年老いた身体で無理をしては大事件や大事故に対症療法で対応してきた日本だが(各事件事故は平成事件事故で検索)、令和になっても同じなのだろうか?

 

 前回までの話の続きで、五段活用の仮定形「え」に着目して、例えば「もし少子化がなくなった未来の日本はどうなっているか?」と、大脳新皮質を活発にしてみよう。同じく「もし日韓問題も尖閣問題もなくなっていると」「もし財政問題が解決して老後が安心できると」など。

 

 実際、ある地域では多産化に成功していたり、ある国々は仲良くやっていたりという例があり、絶対に不可能ではない。妨げているのは五段活用の命令形「お」の中にある間違った命令や、未然形「あ」の中にある消極性や禁止事項だったりする。

 

 それらを真摯に取り除いて、仮定形「え」をさらに実現可能な計画に組み立て、連用形「い」で協力しあい、終止形「う」を実現し、新しい命令形「お」の組織につくりかえれば良いのである。

 

 現状は息絶え絶えでも旧来の「お」の継続にこだわって、事件や事故のたびに「あ」で対処するのみ。お年寄りが外へ出て怪我をしたから外へ出るなというのは極論だが、楽しみが減って息苦しさが増す状況は同じである。

 

  大戦後、上陸したマッカーサーが強引に公職追放を行って旧来の老害を一掃した直後から、有能な若手が次々と台頭して日本は短期間で息を吹き返した。白州次郎や池田隼人、三島由紀夫、伊深大、松下幸之助など、それなりの人材が輩出したのは「お」を切り替えようとしたからである。

 

  しかし現代は、医療技術の進歩もあって多数の老害が健在で、心配症なのは悪くはないが、呆けた頭でまだ新企画「え」を行おうとする。だから若手の「え」の企画力がある者は老害寄りの取り巻きから邪魔者扱いされて排除され、今や世界最悪の消極的職場環境と呼ばれるまでに至った。

 

  大脳新皮質「え」がない、意識「い」も低い、「お」中心の、となると、イメージされる生き物は深海魚である。過酷な深海という環境に適応すべく、目は衰え、口はがめついまでに大きく、歯は鋭く、全身は奇怪な形で・・、ブラック企業も同様に奇怪な深海魚にそっくりである。

 

  平成30年間の老衰のまま継続するなら、深海の古代魚シーラカンスのような生きた化石になっていくのだろう。

 

 

 

 

 

新五段活用案と信長、秀吉、家康

 前回の総論の後、今回から各論に入る。詳細はメインサイト「5素サイクル」のブログに書く予定で、ここサブサイトではコラム的に好き勝手なことを書いていきたい。

 

 で、選んだ題材は人気の戦国時代。なんと、五段活用の「え」仮定形が織田信長、「い」連用形が豊臣秀吉、「う」終止連体形が徳川家康になる。

 

 まずは室町時代末期の日本中が大混乱を極めた戦国時代から、いかに安定した江戸時代に変わっていったのか? 誰しも一度は聞いたことがあるフレーズ、「織田がつき、羽柴がこねし天下餅、うまうま食うは徳川」に沿えば、織田信長天下布武を掲げて平らげていくも本能寺の変により道半ばで倒れ、家臣の羽柴秀吉が天下統一事業を引き継いだ。しかし秀吉の死後は後継の秀頼が若過ぎて安定せず、徳川家康江戸幕府を開いて完成させた。

 

 次にこれを五段活用で言い換える。戦国時代の尾張守護代織田信秀の嫡男に生まれた吉法師は、若い頃から野駆けや水練、相撲、時にはウツケと呼ばれるほどの奇行をしつつ、眼力のある人には「ただ者ではない」と恐れられたりしていた。いったい若い信長が本当は何をしていたのか? 現代でも高層マンションのかなり上に住んで育った子供は地面の感触や草木、虫などに一切触れずにいるので知能面で問題が多いと言われる。その逆なのだ。信長はいろいろジカに試しながら大脳新皮質を賢くしていった。仮定形「え」のように、こうすればああなる、そうすればこうなる、といった基本プログラムを作っていったのだ。

 

 これが活きた集大成が「桶狭間の戦い」。ウツケと信じて尾張に乗り込んだ今川義元を自国内の危険地帯である狭間に誘い込み、大雨という悪天候に乗じて短時間で接近し、見事に次期将軍候補と呼ばれた敵の首をとって勝利した。ここまではE1(えのレベル1)である。

 

 ただその後の信長は一切バクチのような合戦には打って出ず、大軍で包囲して勝つ安定的な方向を徹底している。それでも新たな問題は次々と出てくる。国内に上陸してきた南蛮人や宣教師、鉄砲、仏教勢力の一揆も侮りがたい。旧くなった室町幕府をどうするか。ここで信長はE2に進み、仮定形(~すればどうなるか?)をしきりに考えていく。そして方面軍を編成して勝家を北陸に、一益を関東に、秀吉を山陽に、などと派遣したり(四国は長秀、畿内は光秀、東海は家康)、茶器に高い価値をつけたり、天守閣をもつ城を築いたり、と“模索”していく。そんな中、実際的なE3に進化した成功例が鉄砲戦術による長篠での勝利であり、失敗例が隙を突かれた本能寺の変ということになる。

 

 連用形は秀吉。彼は幼い頃からまさに戦国の犠牲と言え、実父の弥右衛門を合戦で亡くし、養父の竹阿弥と喧嘩して家出し、職を転々としつつ放浪し、時には蜂須賀党に属したりした。これらがI1(アイワン)。前回I2はインスピレーションと言ったが、織田家仕官後に太閤記でも有名な墨俣一夜城や金ケ崎撤退戦など様々なアイデアで昇進していく。

 

 そしてI3とは、アイデアが大衆ウケするイベント主催者としての秀吉となる。醍醐の花見や北野の茶会、辞世の“なにわの夢も、夢のまた夢”も同様。

 

 最後に終止形の家康。三河松平氏の出で幼少期は他国での人質生活、次に今川軍の部隊、次に織田軍の部隊、と与えられた職務を全うするだけの前半生だった。これがU1。次に関東全土を与えられて武門以外にも灌漑や交通など町づくり全体を全うするU2。最後は周囲に力ある大名がいなくなって自身が日本一国を与えられた形になって幕府を開くU3へと進む。U3になると、命令形の組織O3を徹底して、3代目の家光になって武家諸法渡を制定して完成する。

 

 O3はやがて、制度疲労を起こしA(未然形)となれば、従わない、拒否する、と群雄割拠や雄藩連合などへと続く。

 

 現代はどうなのか? 米ソ東西冷戦崩壊直後は、押さえがなくなったからか中東でアルカイダイスラム国が暴れたりし、東西対立が米中対立に変わりつつある今は日韓関係の摩擦が大きくなってきた。