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やせたソクラテスになるな

 哲学者たちの言葉の多くが、20年経った今では額面通り受け取れなくなる。

 

 「神は死んだ、これからは超人だ」に対して「超人も死んだ、凡人でいい」

 

 「語り得ぬものには沈黙しなくてはならない」に対して「沈黙しなくたっていい、賑やかで楽しい」

 

 今回は「太ったブタよりもやせたソクラテスになれ」を扱う。

 

 確かに太ったブタは健康的にもビジュアル的にも精神的にも良くはない。かといって痩せたソクラテスは良いのか? 彼はギリシャで、若者と対話してその中に眠る真理に気づかせる、解答法を自ら見つけ出す活動をしていった。例えば図形に線を足して三角法に気づかせた。それ自体は良いことだ。

 

 やがて、知識を商売にするソフィストに恨まれて毒杯を仰ぐ刑を受けた。

 

 解答法を見つけ出すことを手伝う彼の手法を哲学では「産婆術」という。ただし、

 

 実際の産婆は出産を手伝うが、赤子ができるまでの過程とて当然ある。ソクラテスはその段階は重視せず、出産のみだった。

 

 やせたソクラテスが良くなく、適度な健康体で良い理由がここにある。