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悪しき前例踏襲がエスカレートした秀吉

 大河ドラマ真田丸」の第2シリーズでは、小日向文世が秀吉を好演している。

 先日の「表裏」という回では、天下人秀吉の魅力的な表と残酷な裏をうまく描いていた。実際、こんな感じの社長や会長を見たりするものだ。

 ところで、インターネット上では朝鮮出兵を秀吉の晩年の狂気ではなく、正気からのことだと説明するものを見かけることが増えた。知恵袋のベストアンサーにもある。

 曰く、当時のスペインが東アジアに触手を伸ばしてきた中、秀吉は日本を守るため朝鮮に出兵して中国と交戦し、かの地をスペインより先に押さえておこうとしたというのだ。

 まるで、ロシア南下への対策から朝鮮を併合した先の大戦と重なる話で、実際その種の論者が説いているのだろう。

 しかし、おそらく「真田丸」では利休を切腹させたり秀次の一族を処刑したりした流れで、朝鮮出兵を描くことと思うし、スペイン対策がこの出来事とは一線を画して正気から生まれたものとは無理があるだろう。

 現在、秀吉は真田昌幸に頭を下げさせようとイラついており、家康は表向き頭を下げた形をとって裏では舌を出している。

 つまり、頭を下げるか下げないかという前例を作っていっている。その前例ができ、前例にならい、頭を下げない島津や北条は全国の軍で対処する前例を作っている。

 その流れで朝鮮は頭を下げないし、明国も頭を下げないと、前例通り秀吉は全国の軍で対処した。それだけの話なのだ。

 確かに、前例を踏襲しないと天下は統一できないし、全国の諸将も前例に倣うことで平和を保とうとしている。戦国の殺し合いではなく、茶の湯や絵画を楽しむような平和を求め、そのためには秀吉に頭を下げる前例にならった。

 朝鮮や中国が簡単には秀吉に頭を下げないのは当然だが、これを秀吉が認めると諸将にしめしがつかなくなる。

 繰り返すが現代の社長や会長にもそのことに似たような人は多い。そして、悪しき前例ができてしまうと、社員たちは当然不幸になる。悪い幹部はその前例を利用して讒言する。