草分け中

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幸村に毛皮は似合わない

 昨日の真田丸「味方」。

 

 幸村は九度山を出て大坂城に入ってもまだ毛皮の羽織を着ている。

 

 おそらく父譲りの物で、これを着ることで軍略に長けた父とのつながりを周囲にも視聴者に対しても表現しているのだろう。

 

 しかし、草刈演じる昌幸には似合っても、堺の顔にはどうにも毛皮が似合わない。何故か?

 

 信州のワイルドさ、草刈の顔のワイルドさ、昌幸のゲリラ戦法というワイルドさがこの毛皮に集約されているからだ。逆に秀吉の小姓的存在だった信繁は都会っ子といえる。

 

 あと、時期的には「大坂冬の陣」なので寒い気候の中、毛皮を着ると暖かいのかもしれない。

 

 では後半の「大坂夏の陣」の時には夏だから毛皮を脱ぐのか? 

 

 脱いでほしいものだ。その時こそ父親の呪縛が解けて幸村個人が疾駆するだろう。期待半分、心配半分…。

 

 実は今年はじめ、ツタヤで「真田太平記」の夏の陣のビデオを借りた。草刈正雄演じる真田幸村の野戦での馬上姿が非常に格好良かったのだが、なにせ20年以上も前のことだから、他の映画とも混ざって記憶が正しいかどうか確認したかったからだ。

 

 まず幸村の最期は「真田太平記」の最終話ではないところが違った。大坂城が落城した後も兄信之の話が数話続いていた。それが霞むくらい最期のシーンは強い印象だったのだ。

 

 大坂城の堀が全て埋められ野戦となった夏の陣にて、幸村は同じ赤い甲冑を着けた数名の影武者を使って敵を翻弄して左右に散らし、自らは真っ直ぐに家康本陣を目指した。土煙の中、家康を見つけた単騎の幸村が長槍を片手に少し馬の歩みをゆるめた。このシーンが一番格好いい。

 

https://youtu.be/R2urKrh52mU

 

 

 そして長槍を持ち直して構え、雄叫びをあげて馬を走らせる。家康を突き刺そうとすればできたはずで、家康も目をつむって死を覚悟するのだが、ここで引き返してしまう。そして神社にて馬から降りて兜を脱ぎ、西尾某の槍に身を任せる。

 

 他の映画では馬から降りた幸村が家康を追いかけ、ついに追い詰めて刀を構え、一刀で首を空高く舞わせるフィクションもあった(真田幸村の謀略)。

 

 果たして、堺雅人演じる真田幸村が、どこまで格好よくクライマックスを演じられるか?

 

 コメディに走らず、是非とも草刈の幸村を超えてほしいものである。