先日の「おんな城主 直虎」はすぐに感想が浮かばなかった。
話の中心だった柳楽優弥は架空のキャラであり、最後に出て来た故直親の娘も本当にいた人かどうか分からない。
女性脚本家が創作したファンタジーにいちいち反応できない。あくまで史実の今川氏の没落に興味がある。
なぜ足利将軍家と血筋が近い名家が、なぜ東海の三国を領する大国が、義元から氏真にかけて滅びたのか? この大河ドラマでは井伊家をメインにしているためそこに焦点は当てられていないものの、なんとなく分かる。
まず、義元を軍事と政治の両面で補佐した太原雪斎の功罪が挙げられる。ドラマでは佐野史郎が演じたが、義元の判断の裏には何でも雪斎がいた。雪斎の死後、今川家の判断は弱くなる一方、井伊家は小林薫演じる南渓がこの位置に居続けた。直虎よりも長生きしている。
次に、雪斎の軍事的才能を家康が受け継ぎ、文化的才能を氏真が受け継いだという話がある通り、氏真には決定的に軍事面が欠けていた。ドラマではいつも貴族の格好をしてオロオロするキャラを尾上松也が好演している。
日本も同じで、適切な補佐役を欠いたり、軍事的感覚がなければ今川家と同じ展開になる。世界共産主義革命の手先となる政党が沖縄を牛耳ればアメリカ軍出ていけとなり、中国が尖閣を占領する。
いま放映中の「貴族探偵」も、嵐の相葉が主演のせいかメディアのプッシュが露骨だが、なぜ貴族を推すのかよく分からない。何回か視たところ、3人の使用人に甘える失礼な言い草の無職の若造に過ぎない。
藻掻きつつも何とか成果を出そうとする直虎の苦労とはえらい違いだ。