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矛盾から闇落ちする昨今のドラマ

 いくつかの人気ドラマから共通点を考えたい。

 

 「CRISIS」の最終回は、特捜班が国家に絶望した挙げ句闇側と各々手を組み始め、テレビに「緊急ニュースです」と映し出すところで終わる衝撃?の展開だった。視聴者は続編を期待するも主役たちがテロを行うところは見たくないとの声。

 

 一方、これも話題のドラマ「あなたのことはそれほど」の最終回も主人公の美都は1人浮かばれないラストだった。元夫は確かに怖い笑い方をするけれども「美都さんのことはそれほど」と言って別の女性と再婚、勤め先のバツ3院長も美都の親友と再婚、不倫相手の有島は生まれた娘がカスガイとなって麗華と離婚せず、波瑠演じる美都だけがそれらを見て運命の相手?と出会うことなく終わる。一生会わないかもしれない。これで視聴者はスッキリする???

 

 そして「母になる」の最終回も同様に、小池栄子演じる門倉麻子が育てた広を生みの親に戻して石川県の旅館に務めるも過去を知られて解雇され、都内で広を中心とする幸せな家庭を見つつどこかへ去るという不幸で終わった。麻子にもそれなりに深刻な事情があり、全面的な悪女ではない。

 

 これらに共通して言えるのは、国家の矛盾や婚姻の矛盾の中で主人公達が結局乗り越えられないストーリーをドラマ製作者が作っているということ。

 

 かつては偶然や奇跡、助け、協力、応援、アイデアなどが途中で必ず登場し、ハッピーエンドなラストで終わることが普通だった。視聴者はそんな奇跡はないよと、どうせドラマの世界だからと割り切っており、もしバッドエンドなラストがあれば抗議していた。私も脚本家の力不足だと思っていた。

 

 しかし、他人の不幸は蜜の味という言葉もあるせいか、主人公の闇落ちでも受け入れられる風潮が昨今増えてきたように思う。実際、どんなに婚活を頑張っても変わらない現実、政治にも期待できない現実、妊活も成功しない例は少なくない。

 

 今年の大河ドラマ「直虎」も、最後は直政が徳川家に取り立てられるとはいえ、直虎の代で所属先の今川家は没落し、本人も一生独身のままだった。父や許嫁などの周囲も不幸に終わる人が多い。

 

 ただし、直政への日頃の教育や直虎の問題解決能力なしに逆転はあり得ない。大河がそれを描くかどうか。