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ノーベル賞受賞者の基礎研究の話は理科系に限らない

 今日のニュースで「ノーベル賞に決まった大隅良典さんが喜びの反面で訴えたかったこと」という記事があった。

 

 「『役に立つ』という言葉が、数年後に事業化できることと同義語になっていることに問題がある。本当に役に立つことは、10年後、20年後、あるいは100年後かもしれない」

 

 記者会見で基礎研究の重要性を語ったこの言葉は、何も科学分野には限らないと思う。日本人の受賞者が少ない経済学についても言えるし、ノーベル賞には無い項目だが哲学や社会学にも当てはまる。

 

 大隅氏は賞をとりたくて研究した訳ではない。純粋な興味や疑問から研究を深め、新発見に至った。その研究生活に寛容な日本社会とは、国家がつくったと言うよりも、日本古来の伝統の延長線上にあると思う。

 

 古くは江戸時代のエレキテルで有名な平賀源内やからくり人形、もっと遡れば戦国時代の火縄銃や鉄甲船、忍術など日本人は発明家や研究家をリスペクトしていた。明治に入っても南方熊楠野口英世、各研究者や技術者などを輩出した。

 

 国が予算を注ぎ込むことも大事だが、我々の周囲にもし大隅良典さんがいる場合は、温かい心で接してあげるべきである。地域によっては村の掟に従わない変わり者としてはじく例も見受けられ、結果都会に住まざるを得なくなったりするが、そこは見直す方がよい。

 

 日本社会の基礎研究しやすい伝統が続けば、これから先もノーベル賞の受賞は増えていくだろう。ただし理科系ばかりなのが少し残念ではある。人文系の学問にも基礎研究の世界は当然ある。江戸時代には安藤昌益や富永仲基、中江藤樹貝原益軒など輩出し、明治になっても特に教育分野で大勢出てきた。

 

 現代はどうかというと、以前から真剣に見回しているがどうもいない気がする(故人を除く)。これはと思う人には自説をぶつけて反応を見る手法で、はなはだ勝手な話ではあるが。

 

 本日久しぶりにメインサイトを更新した。

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