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赤い粛正

 平清盛が全権を握った時代、「平家でなければ人でない」と言われ、平家の悪口を陰で言おうものなら、赤い服を着た禿(かむろ)という諜報員がたちまち報告し、処刑されるということがあった。

 幕末の井伊直弼大老となった時代、幕府の弱腰の開国方針に対して異論のある者は次々と処刑される「安政の大獄」という粛正の嵐があった。異論の中には、単なる攘夷ではなく国の強化を説くものや、艦船の重要性を説くもの等まっとうな意見もあり、また橋本佐内や吉田松陰など惜しい人材も多かったが問答無用に処刑された。

 戦前は軍部の中でも好戦的な派閥が権力を握り、反対派を処刑し、レッドパージなど小林多喜二のような作家までも捕縛して粛正した。

 これらには「赤」色が共通する。井伊家の甲冑も伝統的に赤。牛が興奮する色も赤。添削するのも赤。赤紙、赤信号、一般に派手と言われ注意を引き付けるこの色が日本史に目立つ時、血の時代に突入する。

 普通の人や惜しい人材の中でも、特に赤くないものが、例えば緑が似合うものが、赤の攻撃を受けるのだろう。しかし、赤い粛正は長くは続かず、必ず行き詰まってしまうものだ。