ドラマチックに仕上げたものだ。
かつて石橋山で惨敗して命からがら安房に逃れた頼朝のもとへ2万もの軍勢を率いて参陣した上総介広常。
彼の殺害についてここまで詳しく描いたものは読んだことがなく、「漫画日本の歴史」でも単に日頃から奢り昂っていたから(ムカついて)始末したかのように頼朝が回想していた。
しかし今回は、前々回の最後、新たに京都から加わった知恵者の大江広元が「1人気になっている者がございます」と視聴者には不明なまま伏線を張って翌々週まで長い尺をとり、誅殺後に鎌倉御家人が一同「まいりました」とひれ伏す場面で締め括った。
ちなみに広常が書いた文を死後に読んだ頼朝が後悔する話は確かに残っているものの、この大河ではあくまで「あいつは謀反人だ」と言わせてその心情を察するようにした。
そして泰時誕生で未来に一筋の光明を与える。
仁義ある第3代執権であり、法制史上も御成敗式目式目を定めた重要人物、そして承久の乱では京都へ攻め上って後鳥羽上皇に勝つも細かな気配りが行き届いた采配を見せるカッコよさ。演じるのは坂口健太郎らしい。
今回の広常誅殺は、 1年を通して御家人同士の凄惨なバトルロイヤルを描く今大河の第1ラウンドに当たると思われるが、12月には泰時の代で漸く落ち着くという話で終わるのではないかと、そんな気がした。