冒頭、御籤を引くシーンがあった。
頼朝は高らかに決行日を「17日!」と声を上げた。
実は時政の妾りくがどのクジにも17日と書いて入れていた。三島神社のお祭りの夜だからと。
余談だが本ブログが常に念頭に置く「水平思考の世界」には、借金取りが貧乏な父娘にクジを引かせる話がある。
箱の中に入れた2つの石のうち、黒石を取れば娘が自分と結婚して父の借金取り立て、白石を取れば結婚なく借金帳消し、クジを断れば取り立てると言うが、娘は偶然その男が箱の中に2個とも黒石を入れたところを見てしまう。
垂直思考の人はこの場合その選択肢の中でしか考えられないが、水平思考の人は打開できる。
すなわち、娘が箱の中に手を入れて抜くが、石の黒白を見ずにうっかり地面に落としてしまう。「あらゴメンなさい。でも大丈夫。箱の中に残った石を見れば取った石の色が分かるわ」と。
・・・脱線ついでにもう1つ。今回、挙兵参加を断った頼朝の乳母の息子、山内首藤俊通だが、ママという呼称は源頼朝に起源があるらしい。
「日本史こぼれ話」(角川文庫)より。
さて、あまりに兵が少な過ぎて挙兵を渋る頼朝の背中を押したのは、夢に毎晩出てくる後白河法皇と、元妻の八重からの情報だった。つまり、それだけこの挙兵には合理的に考えて無謀で謎が多い。そういうことにでもしなければ説明がつかない。
ただ、番組最後に敵の山木主従の館が香山寺という名前の寺の近くにあったと聞き、ピンとくるものがあった。
香山寺→コウザンジ→功山寺、と水平思考を進めると、明治維新の戦いが始まった高杉晋作他500名による「功山寺挙兵」とよく似ている。
この時も無謀な挙兵と言われたが、晋作は12月15日という決行日を赤穂浪士による吉良邸襲撃の日に合わせて立ち上がった。その赤穂浪士を率いる大石内蔵助は鎌倉時代の仇討ちの先輩である曽我兄弟(伊東祐親の子)を念頭に置いていた。強引なコジツケにも頼りながら、立つべき人は立つのである。
そして晋作率いる奇兵隊と諸隊は下関の会所襲撃に成功して倒幕に勢いをつけ、次々と勝利して長州を制圧し、明治維新を成功させる。
今回の頼朝の挙兵も山木を討ち取って初戦こそ成功するが、次の石橋山の合戦が大正念場となる。
あと、後の宇治川の合戦で先陣争いをすることで有名な佐々木高綱含む4兄弟が駆け付けたシーンもなかなか良かった。この高綱の末裔が乃木大将であり、ちなんだ地名の乃木坂から現代の某人気アイドルグループの名前が決まる。かように歴史はつながっている。
最後に前回予告通り、ボブ・マーリィの名曲「Get up Stand up」で締め括りたい。