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(晴天を衝け) 多面的な栄一

 渋沢栄一は、ただ経済だけを追っていた人ではなく、

 

 ・「論語と算盤」のように道徳と経済の両立、

 ・また養育院のような福祉、

 ・商売下手な旧友喜作との生涯続く交友、

 ・前将軍慶喜にも変わらぬ忠誠、

 ・政治家伊藤博文との友情、

 

 等々、実に多面的な側面を持つ人だった。それが新鮮に映るのは、現代が真逆だからだろう。いつからそうなったのか?

 

 前回記事にも使ったこの画像によると、


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 1980年代には「利潤と効率」を至上の価値として、道徳の軽視(その後のバブル、バブリー)や、福祉の軽視(新自由主義は福祉を後回しにする)が顕著になっていた。

 

 また、哲学思想も1980年代までは浅田彰著「構造と力」や西部邁など元気だったが、90年代頃から徐々に活気をなくしていった。私の話も渋谷の哲学誌編集長に92年頃披露すると80年代だったらと言われたものだった。

 

 改めてまとめると、渋沢栄一といえば経済だけの人と思われがちだが、どう見ても経済以外の側面も重視していた人で、それが結果的には経済を発展させた。

 

 武力を伴う戦争にはあくまで反対した。

 

 慶喜とはともに主戦論ではなかった。

 

 アメリカへも民間外交で移民問題解決を図った。(結局成功せず排日移民法ができたが)

 

 そして栄一死後、日本は中国と開戦、更にアメリカとも西太平洋一帯で死闘を繰り広げる。

 

 戦後は米ソ冷戦の中で西側について再び経済成長し、80年代に入ると奢り高ぶり、90年代のバブル崩壊以降、長期低迷となり、2020年代渋沢栄一を振り返るようになる。

 

 経済繁栄よ再びとの思いからだが、一年を通して我々の目に映ったことは、経済だけの人ではなかった、経済以外も大事だということだった。

 

 既に世界ではSDGsステークホルダー型資本主義などそれに気付いている国もあるが、日本も追っていくかどうかはまだ未知数である。


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