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(麒麟) 分断工作が進んでゆく

  細部まで精巧な安土城の大広間の真ん中でたった2人会話する映画の一作品を観ているかのようだった。

 

  タイトルは「消えた平蜘蛛の謎」。

 

  自分が知っている話では、大和信貴山城の天守閣の最上階で、織田信長が欲していた天下の名物、平蜘蛛の茶釜を胸に抱いた松永久秀が大量の火薬を使って派手に爆死したという。

 

  しかし「麒麟」の制作者は城の焼け跡をくまなく探して今回のようにたくさんの茶器の破片を拾い集めたはずと考えた。さらに今作では爆発ではなくただ城を焼いたと描き、確かにその方が現実的で焼いただけなら平蜘蛛も見つかる。それが見つからないなら、事前に誰かに手渡したのではないか? その相手が光秀だと。

 

  現代でも、出世する人は同時に嫉妬を受ける。光秀も、側室を持たず賄賂も行わず、領民から善政で慕われた上に信長の右腕となっているのなら、出世コースからはずれた久秀や、これからもっと出世しようとする秀吉、他にも多くの人から嫉妬を受ける。久々に登場した帰蝶もたぶん仲睦まじい光秀夫婦を嫉妬している。

 

  帰蝶は美濃に引っ込んだが、久秀は平蜘蛛を使って信長と光秀を分断しようと罠を仕掛け、秀吉は自身の出世の邪魔となる光秀への信用がなくなるよう得意の諜報を使った。

 

  では光秀はどうするか? これらの罠や工作に気付いて、保身のためにライバルを蹴落とすのか。そこが他の富裕層と違うところで、仕えている主君の適性を冷静に見つめ考えてみる。果たして天下人として相応しいかどうか。相応しくなければ、“けしかけた”自分はどうするべきか? 

 

  もうすぐ最終回だが、ラストの本能寺に向けて、信長はますます討たれるべき暴君になり、秀吉はますます腹黒くなって、たぶん高松城水攻めで光秀に応援要請する話も罠のように描くし、正親町天皇もますます信長と光秀を分断させようとするし、そのような中で光秀は、主命に従って毛利攻めに向かうも地獄、参戦せず主命に背くも地獄となり、最悪の選択肢の中で叛乱を取ると描くのではないだろうか?