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(麒麟) 人生の中間点を迎えた光秀

  最後の嗚咽は、今まで信じてきた理想が崩壊したことへの悔しさからか?

 

  長い人生、そんなことはよくある。人は思い通りには動かない。まして愚かな上司は尚さら正道とは逆方向に動く。

 

  光秀の中でそんな展開になってしまう予感は以前からあった。義昭は元僧侶で初めから理想的な武家の棟梁には見えなかった。今も有能な幹部もなく魅力に乏し過ぎる幕府とは違い、織田勢は才能優先で合戦に強く財力もある。また信長がよく通う御所の正親町天皇にも何とも言えない高いカリスマ性があった。

 

  そして剣術で直接対決するシーン。俄(にわ)か仕込みであまりに弱すぎる義昭に失望し、また妻子を人質に京に留め置く義昭のセコい指示にも本気で怒りを覚えていた。

 

  様々な伏線の最後に決別という結果があり、次回は反信長に立ち上がった義昭のところへ信玄死去による甲斐への帰還という報告が入り、急激に強運が信長の方につく。

 

  それはともかく、私ももう誰にも期待していないでいる。理想的な会社も政治家も学者もいない。期待するから裏切られる。全く信じないという訳ではなく、全面的に安心して依拠するほどの環境や英雄もいないことにある時から気付いたのだ。

 

  光秀も気付いた。将軍とて弱い人間、信長にも短所が目立つ。天皇を仰ぐ信長の気持ちはジカに会ったことで少しは理解できたが、理想的な世の中心になるには無理がある。

 

  取り敢えず近江坂本城は完成した。これからは城主として自ら有能な人材を揃え、領民を労(いたわ)り、ルールを整え、理想的な社会をここにつくる。

 

  そうやって一時的には落ち着くのだが、最後には本能寺の変を起こす。今回の義昭との決別とはまた違う流れで。