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人事交流や採用を染め物に例えるなら

  企業が新卒の若者を採用することを布染めに例えるなら、まさしく染めやすい生地が良いし、油がついたりして染めにくかったり、先に染まっている色と混ざってしまうような布は不採用とするのだろう。やがてその布が色褪せてくたびれてくると雑巾のような使い道か、もしくは捨ててしまう。縁故採用であまり使わない布の方が、特に使わないまま長く居続けたりするものだ。

 

  一般的には若者は企業に採用されやすいよう、染まりやすく丈夫な布であることをアピールし、黒に近い色の企業を避け、採用されると早く染まるように勤め、賃金を得るため拭かれたり磨いたりボロボロの布になるまで働く。

 

  しかし、面接官が採用を遠慮するような布の中には、染めてみると意外に良いものになったり、あるいは染めなくてももう十分に染まって使える布だったりするものもある。また、経営の悪化からリストラされた布の中にも使える布はいろいろとあるものだが、使ってみないと分からなかったりする。

 

  理数系に強い頭の持ち主は丈夫で染まりやすい生地で、採用後にその会社の色に染められる一方、文科系に強い頭の持ち主はすでに何らかの色に染まっているように見える。特に思想を勉強している者はそうだ。

 

  染まっている布と染まっている布とが交流する場合、仲良くしようという意志があまりなければ、単に自分の色を主張するだけの平行線で終わる。平行線で終わりたくない若い側が、年上の側に全面的に降伏してその色に染まろうと弟子入りする場合があるものの、先に染まっている色との混ざり具合から、必ずしも師匠の思う通りの色にはならなかったり、あるいは裏切られたりする。

 

  理想的には、色といったって赤青黄色と白黒の5色を基本に様々あるわけだから、互いの色を知って近い系統を確認しあったり、互いに譲り合ってより良い色を新しく生み出したりすれば良いと思う。もちろん悪い色になる場合もあるが、自身と相手がどんな状況でどれだけの色を出し合えば良い色になるかは今後の我々の知性次第である。