幕末、アメリカのペリー提督が4隻の蒸気船を率いて関東の沖に現れ、開国を迫ると日本中が大騒ぎになった。ちなみに蒸気船は帆でも石炭でも進むことができる今で言うハイブリッド型の船だが、当然漕ぎ手はいらず、日本にはまだその技術は無かった。
この事態に対する各主要人物の対応の違いをここにまとめておきたい。
吉田松陰:黒船に乗り込んでアメリカに行きたいと交渉して罰せられた。
勝海舟:幕府が買った黒船に幕臣なので乗船し渡米、倒幕を企てた。
高杉晋作:長州の家臣なので応募し黒船で上海を見聞、倒幕を企てた。
伊藤博文:長州の下級武士ながら黒船で渡英、帰国後倒幕に参加する。
坂本龍馬:勝のもとで黒船の操縦法を学び、黒船で武器商人となる。
西郷隆盛:黒船を持つ龍馬を使い、長州に武器を送った。
島津斉彬:豊富な財力で黒船を造ろうとした。
大村益次郎:高い語学力で洋書を読み宇和島にて黒船を製造した。
大久保、岩倉、木戸:明治維新後、黒船で欧米を見聞した。
このように、黒船ショックはペリーのところで止めてはならない。主要人物は必ず黒船に関わっている。そして高杉晋作の場合は第二次長州征伐の緒戦、周防大島にて幕府の黒船に夜襲を仕掛け、すぐに湯を沸かせず蒸気機関を短時間で稼働させられないという弱点を突いていた。
ひるがえって現代では、「AIショック」という言葉が広がってきている。黒船が既存の船乗りや船大工の仕事を奪ったことと同様、AIも多くの仕事を奪うとの見方があるが、上記のごとく柔軟に対処することが大事であろう。