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「坂の上の雲」の見方2

 日露戦争後半戦、極寒の大地でロシア軍を破っても破ってもシベリア鉄道で次々と兵が送り込まれて新たな大軍と向かい合う連鎖地獄に陥った日本陸軍の中で、異彩の大活躍をしたのは黒木為楨や野津道貫など幕末の戦争を生き残った元武士の将たちだった。

 

 彼らがいなければ敗北していたと言っても過言ではないほどの猛々しい突撃、奇襲、夜襲。その背景にあるのは、30年ぶりに会った生きる(死ぬ?)目標と言える。自身が培った才能を久々に活かす場所に出会えた喜び。それさえあればどんな地獄も耐えられるのではないだろうか。

 

 同じことは300年前の朝鮮の役の時の戦国武将にも言えて、明の大軍を相手に島津義弘立花宗茂が九州時代の恩讐を超えて連携し、かたや加藤清正小西行長はライバル同士で先を競い合った。更に遡って元寇の時も北九州沿岸で鎌倉武士たちが団結して防衛し、ついに上陸を阻止した。

 

 現代も自分の働き場所があるだけで幸せなものだし、久々に出会えたら相手がどんなに大きくとも馬鹿力を発揮するものである。

 

 日本の中高年の中にはまだまだ激戦の生き残りはいる。活かさない手はない。