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バブル期に出た“反時代”作品(温室批判)は今となっては正しかったか?

 70年代の高度成長期から80年代後半のバブル絶頂期に掛けて、世界第2位の経済大国となった日本は確かに浮かれていた。

 

 そんな中で“反時代”を掲げた作品が「ハード&ルーズ」だった。当時の日本を否定的に描き、織田哲郎が絶賛し、私も主張の多くに納得した。

 

 

 しかし、大部分の日本人は今の繁栄がずっと続くと思い込んでいた。

 

 転機はまず90年代前半、バブル崩壊の形で現れた。やがて失われた20年が続き、低空飛行なまま気がつくと中国に抜かれ、それは織り込み済みとしても幸福度や老後などあらゆる指標で他国に抜かれ低い位置に居ることになった。

 

 バブル期の反時代が指摘していたことの多くは正しかったと今となってはいえる。

 

 ただ、本ブログでは「ハード&ルーズ」を「野良猫の論理から見た飼い猫批判」とも指摘した。要するにバブル期は飼い猫が威張る時代で、それを野良猫が「フン、今後もし時代が悪化したら飼い猫のままではいられなくなるぞ」と批判した。

 

 そして現在、官僚のプランは崩壊し、50代の年金受給者は5割という、まさに野良猫がはびこる時代に突入しつつある。「ハード&ルーズ」の主人公である私立探偵ももちろん年金はもらわない。7巻最終話では同じケモノ道を歩む先輩の老人が登場したのが暗示的だったが。

 

 だからといって日本列島を野良猫だらけの島にする訳にはいかない。