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アメリカのTPP離脱は正解

 トランプ大統領がTPP離脱を発表した。

 

 ニュースのコメント欄を見ると「仕事早いなー」と感心したり、「日本はアメリカに無理やり参加させられてハシゴを外されアホみたい」という書き込みもあった。

 

 太平洋の12ヶ国が参加するTPPはあとアメリカ1国が批准したところでスタートするはずだったが完全に止まった。日本は引き続き働き掛けると言っているがやめた方がいい。

 

 TPPの本質に関する次の異説に気づけば明らかだ。

 

 まず、歴史上の前例に目を向ければ、それが広範囲の国々との無理やりな融合政策の一種であることが分かる。例えばアレキサンダー大王のヘレニズム。ギリシャペルシャとの無理やりな融合で、自らも国際結婚し、兵士たちにも大量にすすめた。

 

 彫刻も融合、文化も言葉も融合。しかし、本来の文明や文化は、その地に根ざして出来上がったもので、上からの無理やりな融合は地に足のついてない、現実性の低いものになり生活者が困ってしまう結果を招く。そしてアレキサンダー帝国は大王没後すぐに瓦解した。

 

 日本でも甲斐の武田信玄が隣国信濃の有力氏族、諏訪氏と無理矢理な婚姻を行い、その息子勝頼を後継にして部下たちの反発を招いた。そして早期に滅んだ。

 

 オバマも太平洋の真ん中の出生で、白人と黒人、アフリカをはじめ複数の血の混血だった。こうした背景からTPPが出てきたのであり、あまり前面に出過ぎてそこを突かれたくないからか、本人は後方に引っ込んでいたものの、オバマならではの政策なのだ。

 

 アレキサンダー、信玄、オバマに共通する点は多い。軍事的上位にある、先代が好戦的なことの反発からの平和的融合策。

 

 しかし、現実無視の無理矢理な融合による摩擦でアレキサンダーや信玄没後すぐに滅んだため、TPPもそうなるか、もしくは結ばれないだろうとは、以前何度も書いた。

 

 ただ誰もこの異説を認めず、反対派は多国籍企業の陰謀を唱え、推進派は多国籍企業に逆らうなと低姿勢になり、菅直人や当時の役人は「平成の開国」と参加を決定、安倍も対中国への牽制になるからか突き進もうとした。

 

 関税撤廃だけでなく、全産業分野の法律全般に渡って参加国一律のルールができ、勝手に撤廃もできない条項など、TPPは国そのものが意味をなさなくなるシロモノだった。

 

 長い髪の経済学者がよく国境はなくなると得意げに言うが、市場原理を信じ過ぎの阿呆である。不安定になり、不正や犯罪や戦争のリスクも高まる。何より、その地域独特の諸事情をよく分かっている側による運営のため国があるのだ。

 

 地理、天候、体質、伝統、資源…

 

 はじめに戻るが、トランプ大統領はそうした観点からもTPPに反対し、国内を優先したと考えられる。