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「カラオケバトル」は良い子が多い

 小学生の娘が好きな「カラオケバトル」。

 

 夜はこの番組の録画を流しながら寝入ることが多いが、私はどうも好きになれずにいた。

 

 まず、どの出場者も上手いのだが99点台の勝負に意味があるのか? 92点や93点を争った過去は何だったのか? 今の時代の99.75や99.68を争う勝負がどうにも胡散臭く感じる。実は番組上層部の胸三寸で得点が決まっていて、公平に機械が採点していない疑惑がつきまとう。

 

 そうはいっても出場者の多くは機械による採点だと思って本気で挑んでいるようだ。

 

 余談だが前節に出た漫画「ハード&ルーズ」では、カラオケについてこういう下りがある。「誰もが異様にうまい。けど感動とは無縁なのは何故でしょう? 答えは簡単だ。管理社会は徹底されたのだ」

 

 そして、正しい歌唱法として忌野清志郎桑田佳祐ボブ・マーリーのような魂の歌を肯定する。

 

 しかし、1980年代後半のこの漫画がおそらく予想していない展開で、2010年代半ばから「カラオケバトル」が台頭した。そして現在活躍しているのは、堀結衣や鈴木杏奈、安大智、前田真弥など、非常に性格の良い、模範的な青少年が大活躍している。不思議なほどだ。

 

 1980年代当時、高度工業化社会の流れで管理社会が進んだ結果、カラオケ上手な社員が多数発生した一方、ブルーハーツの甲本やエアバンドゴールデンボンバーなど異端児も出てきた。やがて経済成長が鈍化した中でカラオケの位置づけも変わった。

 

 さらにヒット曲も出てこない中、まだ管理されていない中高生やニートのせびっちゃマンボなどが高得点を出して一般サラリーマンよりも上に立つという現象が生じた。

 

 視聴率や実際の人気度から見る限り、現代の音楽界の最先端に立っている人は、アーチストでもミュージシャンでもなく、こういった性格の良い素人になってしまった。