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秀吉の狂気

 先日の大河ドラマ真田丸」では、世の多くの人が聚楽第の落書き事件で秀吉が行った狂気に驚いた。落書きの犯人が分からず、17名の番人を職務怠慢で処刑し、やむなく病死した尾藤道休という元番人を犯人に仕立てあげて首を差し出すも、おさまるどころか道休の親類縁者や近所の者まで磔じゃ、と怒り出す。つまり秀吉は、道休と一緒に噂話をした人を全て罰することで、世を黙らせようとしたのである。

 ドラマでは三成や妻が止めたことになっているが、実際は大勢の人を処刑したと記録されている。このように、晩年の秀吉は非常に狂気が目立つようになる。今後のドラマでは、秀次一族の処刑や朝鮮出兵なども描かれていく。そして最期だが、幼い秀頼の行く末が心配なあまり、五大老に誓約書を書かせようとする。

 現代でもよく見られる光景だが、特に老いた猜疑心が強いトップがいる組織では同じようなことが起きるのではないだろうか。逆に若く部下を疑わないトップのもとでは、忠誠心を信じてあまり仰々しいものは書かせない。

 秀吉没後、この誓約書がいつどこまで効力があるのか明記がないために(=永遠か)、まず家康が豊臣家の承諾なしの婚姻政策を行い破っていき、それを立場上咎める三成と対立が生じる。亀裂は大きくなり、やがて関ヶ原の合戦に至る。

 こう見てくると、死期が近く弱体化した政権による各大老への押さえとして誓約書がある。家康は確かに署名したが、安心して安らかに冥土へと内心思ったのだろう。大河の視聴者は、老いた秀吉の姿に現代の老いた世代を重ね合わせて視聴する。狂気の姿も分かりやすく感じる。それは実際に現代でもあるからだ。