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(鎌倉殿の13人) “ オオモノ”広常を成敗

 ドラマチックに仕上げたものだ。

 

 かつて石橋山で惨敗して命からがら安房に逃れた頼朝のもとへ2万もの軍勢を率いて参陣した上総介広常

 

  彼の殺害についてここまで詳しく描いたものは読んだことがなく、「漫画日本の歴史」でも単に日頃から奢り昂っていたから(ムカついて)始末したかのように頼朝が回想していた。

 

 しかし今回は、前々回の最後、新たに京都から加わった知恵者の大江広元が「1人気になっている者がございます」と視聴者には不明なまま伏線を張って翌々週まで長い尺をとり、誅殺後に鎌倉御家人が一同「まいりました」とひれ伏す場面で締め括った。

 

 ちなみに広常が書いた文を死後に読んだ頼朝が後悔する話は確かに残っているものの、この大河ではあくまで「あいつは謀反人だ」と言わせてその心情を察するようにした。

 

  そして泰時誕生で未来に一筋の光明を与える。

 

  仁義ある第3代執権であり、法制史上も御成敗式目式目を定めた重要人物、そして承久の乱では京都へ攻め上って後鳥羽上皇に勝つも細かな気配りが行き届いた采配を見せるカッコよさ。演じるのは坂口健太郎らしい。

 

 今回の広常誅殺は、 1年を通して御家人同士の凄惨なバトルロイヤルを描く今大河の第1ラウンドに当たると思われるが、12月には泰時の代で漸く落ち着くという話で終わるのではないかと、そんな気がした。

 

(鎌倉殿) 面白いが軽い

  ドラマ制作者に軌道修正があったのか知らないが、違和感を覚え本ブログでも紹介した数々、例えば「善児が1人で何人も殺し過ぎ」「義経を証拠もなくディスり過ぎ」などの演出(捏造?)していたシーンが今回はなかった。

 

  逆に弓場(ゆんば)での頼朝と義経のシーンは好印象を与え、次に2人の再会はなく敵味方となる伏線とは言えど、今までの亀の前事件での義経謹慎や頼朝激怒の流れからすると若干唐突な談笑に見えた。

 

  源義仲の扱いも同じで、前回の義時への話しぶりや息子を人質にする判断力などがあまりにカッコよく好評だったから、今回CGでも倶利伽羅峠の火牛の計を再現するかと思ったらナレのみでまさかのスルーだった。ラストの解説で補ってはくれたがハイライトを逃したも同然である。

 

  この分では次回の宇治川の合戦でもキモとなる佐々木高綱梶原景季の先陣争いにあまり尺を設けないかもしれない。

 

  誰かがどこかに書き込んでいたが、視聴者を北条好きに誘導するために頼朝の女好きや義経の幼稚さを過剰に膨らませている。ヤフー記事のタイトルに釣られていいねをかせぐことだけに躍起なヤフコメ民はそれで騙せても、偏向が大きければ構成がギクシャクする。

 

  テンポよく面白い大河であることは認めるが、名作にはならない軽さや粗雑さをいつも感じる。

 

  あと、無理かもしれないが鎌倉幕府創設に絡む新しい考え方がどうやって誰から生まれ実現したか、特に大江広元と北条氏を中心に描いてほしく思う。

 

思考停止のタテ組織と反乱の仕組み|reigan #note https://note.com/newworld/n/n2c14b15bd8a2

(直近4年間) 共通点と今後の見通し

 ○○イヤーという言葉がある。

 

 その年はこの話題一色だったという時に使う。

 

 例えば去年は何イヤーだったか?

 

 思い返せばちょうど1年前の春・・、

 

 小室圭氏が400万円は借金ではなく贈与である旨の28頁に及ぶ長文を唐突に発表し、西村宮内庁長官眞子内親王だけが評価したが、世間から「早く返すべきだ!」との猛バッシングが巻き起こってすぐに撤回、解決金という形で支払う展開になることがあった。

 

 8月頃から、秋に結婚するのではという話が女性週刊誌を中心に広がり始め、9月1日に読売新聞が10月結婚とスクープ。批判の声が高まる中で儀式なしのまま10月26日の入籍を強行、直後に小室圭氏の弁護士試験不合格が明るみになり、「やっぱりな」と見なされるも渡米した・・、まさに「マコムロイヤー」と言える年だった。

 

 その前年は何イヤーか?

 

 2月に中国武漢で新型コロナ騒ぎ、3月には寄港したフェリーへの対応で騒がれ、4月にはマスク不足が顕在化し、更に休校や飲食店の時間制限が話題になるなど、「コロナイヤー」だった。

 

 更に前年は、

 

 隣国韓国からのレーダー照射問題、日本からの批判に対抗した稚拙な動画公開、5月にはフッ化水素の輸出規制に端を発した経済摩擦、G−ソミアへの不参加をめぐる問題など、年中「韓国イヤー」だった。

 

 そして今年だが、

 

 2月末から始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化しつつあるので、「ロシアイヤー」となるのだろう。

 

 4つに共通して言えることとして、「前年末から兆候があるにも関わらず、誰も来年がそんな1年になるとは予想できない」「年の半ば頃にピークがあって尻すぼみしていく」「かといって文もコロナもマコムロもプーチンも完全に退場はしない」などがある。

 

 更に考察を進めて、なぜこれらにヒートアップするのか?となると、

 

・お隣り(の国)が余りに変だと困るから。

・新しいウィルスだから。

・日本の象徴である皇室の一員だから。

・核を持った国が実際に武力行使したから。

 

 とまとめられ、結局、

 

・隣国の変な部分に眼が慣れてきた。

・ウィルスの特徴がほぼ分かってきた。

・小室圭氏の4月末の合否に関わらず弁護士の適性はないと分かった。

 

 等々から、今後そういう環境下、つまり変な隣国や変異ウィルス、敬えない一部宮家、非道な大国がある中でも我々は生きていかざるを得ない。そして、一昔前の常識や価値観全体をも根本的に見直さざるを得なくなる。

 

 

 

 

 

 

(鎌倉殿) 大江広元が気になったことが分からず気になる

 前回の最後に大江広元が話した「気になること」は何だったのか?  

 

 ヤフー記事にも取り上げられて、「義経か広常か」と話題になったが、今回その答えが出てきてない。

 

 視聴後ネットで探すと同様の疑問を持ったツイッターも散見した。

 

 いちおう推測すると、放送前になって削除したのではないだろうか? その空いた時間を埋めるために、特に必要もないシーンを加えたとか。

 

 それが読経合戦か寝転んでまったりか、八重へのストーカーかはわからない。

 

 ただ多くの視聴者はあまり気にせず読経合戦に笑ったり、夫婦まったりを羨んだり、義仲かっこいい!と評価したりしていた。

 

 義時と八重の馴れ初めも、政子と亀の対面も証拠となる記録はない。義経のシーンもほとんど証拠がないのにディスってばかりだが、比企の女性とは事実である。

 

 本日アップした別サイト記事

 

 

思考停止のタテ組織と反乱の仕組み|reigan #note https://note.com/newworld/n/n2c14b15bd8a2

(鎌倉殿の13人) 弁慶による仕業だったとは!

 「亀の前事件」が意外に詳細に描かれていて面白かった。

 

 そもそもの「後妻打ち(うわなりうち)」という慣習では門付近を少し壊す程度だったのが、何故あんなに館まるごと打ち壊し焼くまでに至ったのか?

 

 通説では、それだけ政子の嫉妬が大きかったからという。

 

 いや、政子に加えて父親の北条時政まで伊豆に帰る事態となったから、これは北条一族全体による計算、つまり鎌倉での重要性を改めて周囲に印象づけるためという説もあった。

 

 記録によれば、時政はいつの間にか復帰して政子は正室、亀の前は側室で落ち着いたとあるが、次回はいちおうそこも詳細に描くのだろう。

 

 どう描くかは期待している。

 

 何せ、館を全壊させた真犯人が義経一党(特に弁慶)という三谷氏の独自解釈は非常に新鮮で納得がいったから。

 

 その伏線として、義経の義姉への親しみがあったのか。今まで何の証拠もない無駄なディスりと思っていたが。

 

 こうなると、義経の最後も今回同様にいろいろ巻き込まれて悲劇的になるのだろうと推測される。

 

 頭の中でつながる新解釈は、たとえ科学的裏付けが難しいものでも、知っていれば知っているほど、次の発想や選択に貢献するので今後も多読や乱読は続けていきたい。

 

【本日の記事】

・生物の段階的進化と地磁気の逆転


(生物の段階的進化) 宇宙線が原因か? - 「状態の秘法」で見直す諸々

 

・対立を追究する孔子暗黒伝と自説との融合

対立を追究する漫画と自説の融合|reigan #note https://note.com/newworld/n/n07203eb8d55a

 

 

 

 

 

 

(生物の段階的進化) 宇宙線が原因か?

 生物の遺伝では、子は親と同じ姿形になるものだが、ではなぜ長い歴史で見たときネズミのような雑食性の小動物から始まって、犬や猫、象や羊、クジラなど様々な種類に枝分かれしたのか?

 

 それは哺乳類だけでなく鳥や恐竜などにも言える。

 

 どこかで大きな変化があったことは間違いない。

 

 しかし、その瞬間が分からない。

 

 化石も段階的な違いはあっても、中間の次第に少しずつな変化という訳ではない。

 

 この問題に真正面から答えた人や作品が皆無かというとそうでもなく、例えば天才漫画家、諸星大二郎氏は名作「孔子暗黒伝」の中でこんな説明を試みている。

 


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 つまり、地磁気が変わる時に降り注ぐ強い宇宙線の影響で、多くの生物が亡くなったり奇形児が生まれたりする、その中で生き残る突然変異もあるのだと。

 

 これに筆者なりの説明を加えたい。

 

 感情の乱れや安定をとらえる時の「波」は、量子と同じく宇宙の最初期から在ったはずなので、そのうちの例えば「固い鎧に覆われたい」という波が強く関係して、事件(イベント)の時に突然変異を起こす。

 

 こうして、植物では固いクルミが、恐竜ではアンキロサウルス、哺乳類ではセンザンコウなどが現れる。

 

 人間の歴史の場合、武王やヤマトタケルなどの革命家の出現まで「孔子暗黒伝」では突然変異で説明しているが、そこはどうだろう? 地磁気が弱まって宇宙線が降り注いでも同時代の多くが革命家になる訳ではない。

 

 実は諸星漫画は後期になって殷周革命の主役を武王ではなく太公望に求めており、その天才軍師誕生の瞬間を描いた「太公望伝」も名作と言われている。

 

 本日noteで前回「暗黒神話」に続く「孔子暗黒伝」関連の記事を書いた。全4部構成で、「太公望伝」は最後に書く予定。

 

対立を追究する漫画と自説の融合|reigan #note https://note.com/newworld/n/n07203eb8d55a

(鎌倉殿) 今も昔もキーマン信仰

 今年の大河は、歴史に忠実過ぎる部分と、物凄く捏造している部分との差が激しく開いている感じを受ける。

 

 今回でいえば、いったん鎌倉に入って好感度を上げた義円が叔父の行家と墨俣川の合戦に赴いて敗れる話は、史実ではあっても尺が長いと思う一方、義円がしたためた手紙を義経がビリビリに破くシーンはどこにも記録はない捏造であると下記サイトにもある。

 


義円とはどんな人?本当に義経の発言で死に追いやられたの?【鎌倉殿の13人】 | ほのぼの日本史

 

 梶原景時による告げ口も捏造ということになる。

 

 毎回NHKは、不実な、義経ファンから見れば名誉毀損罪か侮辱罪以上のことをやってくれている。

 

 そして次回は有名な「亀の前事件」。これは史実通りにやると非常に恐ろしく、せっかく今回の華やかな衣装で上がった政子の好感度を激しく落とす話になる。

 

 たぶん政子を擁護して中途半端に描かれるだろう。

 

 つまりバランスが悪い。何故そうなるかというと、大河自体に何が言いたいか芯となる部分がきちんと確立していないからだと推測している。

 

 鎌倉時代初期の有力御家人同士のバトルロワイヤルを題材にすれば一年もつだろうという安易な発想しかないのではないか?

 

 史実を補助する創作部分については、あまり不自然が過ぎない程度に留めてもらいたい。

 

 最も不自然なのは善児だろう。本来、同一人物が頼朝の子も北条の長男も伊東の当主も殺すはずがない。

 

 なのに大河では汚れ役をこの男が一手に引き受け、梶原景時が最後に雇うと決めたので、今後も暗殺者として仕事し続ける。まさに捏造の極みである。

 

 その分、他の御家人が全員良い人に描かれる効果はある。景時と善児の2人だけが悪い人になり、次に義経が困った人扱い、逆に頼朝や義時はとことん肯定される。

 

 現代でも、ワンマン独裁ボスの社長(あるいは会長)が全社員からリスペクトされる一方、全社員から嫌われまくる汚れ役がボス直属だったりする例がある。時に斬りにくい幹部を直報告して始末し、組織が守られる。

 

 そんな現実を反映しての構成かもしれない。

 

 どんなに学問が発達しても、昔と変わらない原始的な部分はなくならないままである。

 

 特に政治。

 

 平清盛1人が死ぬだけで平家も世の中も一変したりする。

 

 前回記事で扱った話の場合、豊臣秀吉1人がいなくなるだけで朝鮮出兵が終わった。

 

 ウクライナ情勢も、プーチン1人いなくなれば、それでもロシアが侵攻を続けられる感じではないし、逆にプーチン1人が健在だからウクライナでの無意味な市民殺戮が繰り広げられている。

 

 全然進歩してない。

 

 そんなキーマン頼りな前近代性だからこそ、本ブログでは知的進歩に貢献する話を書き続けているが、まだその重要性に気付く人は少ない。

 

 

PS. 本日アップしたサブサイトの続編を現在準備中。自分的には今回も次回も過去最高に滅茶苦茶面白い。

 

8匹の蛇を揃えて完成する境地とは|reigan #note https://note.com/newworld/n/n6cb35d0c633a