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大河ドラマと小国の行方

  ここ数年の大河ドラマは、左右の大国に挟まれた小国を舞台にしたものが多かった。

 

  今川と織田に挟まれた井伊家の「おんな城主直虎」、武田家滅亡後、北条と織田に挟まれた「真田丸」、そして兵庫の地にて毛利と織田に挟まれた小寺家を舞台にした「軍師官兵衛」。今年の「西郷どん」については後述する。

 

  ひと昔前の天下をとった主人公の話ではなく、こうした小国の悲哀と葛藤を描く意図は、現代のアメリカと中国に挟まれた日本の状況と無関係ではないと思う。世論に多少なりとも影響すると思い、企画したのである。

 

  そもそも左右に大国に挟まれる小国は、紛争地帯であり、判断の誤りが滅亡にもつながって成功例よりも失敗例の方が多い。そんな中で真田家は兄信幸が江戸時代に生き残り、井伊家は徳川幕府重臣となり、黒田家は現代も栄える福岡をひらき成功した。

 

  一方、黒田家が仕えた小寺家は毛利についたため滅び、井伊家でも今川についた家臣はいなくなり、真田家も豊臣についた幸村は華々しく散った。

  

  ここで再び現代のアメリカと中国に挟まれた小国の話に戻すと、日本は依然アメリカ寄りに立ち続け、北朝鮮は中国寄り、韓国は文政権に変わってアメリカの言うことを聞かなくなり怒らせる話が目立ってきた。

 

  いわば日本は、戦国時代の織田徳川同盟のように、尾張の兄と慕う信長が西方面に進むため弟家康が東方面の今川や北条に対峙する形でアジアを押さえている。逆に韓国は、戦国時代でいえば官兵衛がかつて仕えた兵庫の小寺家のように、毛利から織田に寝返ると言いつつ毛利に戻ったり、織田寄りの官兵衛を幽閉したことと同じく親日親米派の人を捕縛してブレている。

 

  そして今年の「西郷どん」だが、冒頭から少年吉之助が「Kagoxima」と表記された地図の切れ端を大事に持つという創作が入っていた。これは今までの大河同様に小国日本を念頭に置きつつ、欧米寄りの姿勢を暗示している。その後、明治に変わって西洋を軽視する頑迷な朝鮮への対応をめぐって下野する話が最近あった。

 

  歴史上の事例は、小国が選択を行う上で揺るぎなく参考になる。