先日の「西郷どん」で、フランスの黒船が神戸に現れ、関西各地が大騒ぎになるシーンがあった。このシーン、絶対に見たことがある。
東京湾に現れた黒くて大きなゴジラ、東京中が大騒ぎするシーンとダブる。そう、伊豆浦賀沖に現れたペリーの黒船は、ゴジラの登場と重なるのだ。
太平の 眠りを覚ます 蒸気船(お茶のジョウキセンの意) たった四杯で 夜も眠れず
ではゴジラを誰がどう倒すのか? 映画では、日本人の力で倒す。しかし、同じく怪獣が現れる人気特撮番組では、宇宙からきた優しい巨人が倒す。
ウルトラマンのことを、以前読んだある本では、自然たる怪獣に対する赤と銀の工業を象徴する側と解いた説を読んだことがある。
しかし、上記の流れに沿って言えば、もう少し違った解釈になる。大きな目を持つ大きな男と言えば、西郷隆盛そのものなのである。大河ドラマを見た人なら分かると思うが、島津斉彬に認められながらも斉彬没後は5年間も遠く南方で島暮らしを強いられ、やっと戻った時には伝説のヒーローが待望の復活となった。そう、遠く宇宙から来たウルトラマンとここも重なるのである。
黒船出現以来、荒れた国内を武力で鎮めた西郷隆盛は、怪獣をスペシウム光線で鎮めたウルトラマンとダブる。そして遠くへ飛んでいく。西郷も星になった浮世絵があった。
ではもう一方のヒーロー、仮面ライダーは何か? 1号ライダーの場合、敵のショッカーによって改造された本郷猛が脱出するシーンで始まった。となれば、坂本龍馬だろう。元土佐藩の郷士が、江戸幕府の海軍操練所で操船術を修得するも、薩長側に寝返り、時には幕府の追っ手たちと派手な銃撃戦となるも逃げ切る。
こういった幕末のヒーローイメージが背景にあってこそ、戦後のヒーローは人気につながったのだろう。
ただし、平成のヒーローは若干変わる。ウルトラマンも仮面ライダーも上記の趣旨とはまったく異なる路線で再度の人気を得た。この理由はまだ分析中である。かつてほどの人気があるのか今一つ分からないが、オダギリジョーのクウガは成功例といって良いと思う。以来、平成仮面ライダーは磐石となった。