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小動物系人間にも着目せよ

  小柄でおとなしく、仕事でも黙々と単純作業を地味に続けている人がいないだろうか?  周囲にいる何人かを思い出してほしい。

 

 彼らは一見あまり役に立たないような気がするが、実は我々の死活に関わる重要性があったりする。

 

 動物に例えるなら、当然ライオンでもキツネでもゾウでもない、ネズミのような小動物だ。ネズミは家の屋根裏にもいれば、海上でも船のなかにいたりする。そして船の中の穀物袋を破って餌にすることから、昔こんな諺(ことわざ)が生まれた。

 

  「沈みそうな船からはネズミが逃げる」

 

  もちろん海上の時ではない。港に接岸した時、この船は次の航海できっと沈むだろうと感知して、ネズミたちは逃げる。

 

 ネズミはライオンやキツネやサルのような能力を持たない代わりに、こうした防衛本能を持っている。

 

 だから、我々の近くで小動物系の人間が黙々と生きている間はまだ安心していい。大船に乗った気分という言葉もあるが沈没する可能性は低い。

 

 しかし、ネズミみたいだとバカにしていた彼らが次々といなくなれば、退職を申し出たり、次の転職先も彼らが地味に生きていける大船のような所だったりすれば、要注意である。

 

 ある会社にもそんな状況が起き、不安を覚えた責任者は社内を見直したものの、全体的に低レベルではあれど特に以前と大きく異なることはなかったため、自分さえしっかりしていれば大丈夫と何も手を打たなかった。

 

 ほどなく彼は港で下船することになった。そして船長を失った船は沖に出てまもなく舵取りを誤って沈没した。港で遭難する様子を見た彼は思い出した。ネズミ社員たちの退職はこのことだったと。

 

  普段からネズミたちが安心して過ごせるような余裕ある態勢づくりが大事である。