青山ブックセンターが閉店という記事があり、寂しがる人が大勢いた。
昔交友のあった思想系の出版社の雑誌が、この書店にだけは継続的に並んでいたと記憶している。
東京でも赤坂や青山など知的に気取った人々が集まる場所だったので、ここがなくなれば、いよいよ松屋やすき屋が目立つだけの他の町とあまり変わらない所になってしまう気がする。
本が売れなくなった、とか、求人に文化的なものがなかったり、等を見ると、日本は知的な貧困に陥ってきていると思う。そんな惨状を見てなのか、私は都会を離れ、田舎にログハウスをつくって、静かに珈琲を飲みながら読書と執筆の日々を送ろうと考えた。もし賛同者がいれば、暖炉か囲炉裏のそばで夜どうし語り合いたいと。
しかし、実際にやろうとするといろいろな困難に当たった。まず下水道がない。浄化槽をつくるにもカネがかかる。井戸もなくなっていた。木材は豊富にあるが、加工に手間と時間がかかる。乾燥に1年もいる。
どうやら諦めて稼がなければいけない。理想は自説に殉じた生き方だが、辻説法が得意な坊主や信者を集める教祖になる意欲もないし、ただ学際的な面白さに気付いてもらいたいだけなので、どうも具体的方向が見つからない。
時代そのものは急激に変わっている。以前と違い、TOKIOの山口は永久追放になり、官僚の財務次官はセクハラで辞め、ツール・ド・フランスの優勝者に美女が両側からキスするのもなくなり、安倍夫妻は口利きができなくなり、南北朝鮮の首脳は普通に国境を行き来できるようになった。
マスメディアは権力の監視役どころか、津波のように報道すれば現行の法の壁さえ破れるという正義感に燃えている。破壊の先に何を築くかは特にないようだが。
破壊よりも創造、そこに気付いた人たちによる交流会と発掘や抜擢こそが最重要課題だと思う。