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(シン ゴジラ)ラストに出た尾のアップを見て

 大ヒット映画「シン ゴジラ」の地上波初放送。映画は見なかったが、レビューの幾つかにラストの尾に人間のようなものが見えたが何を意味するのか分からない、という書き込みがあったことを思い出し先ほど見た。

 

 なるほど、確かによく分からない。作者の庵野監督も何も語っていない。ネットにはいろいろな説があるが、どれも庵野監督とは一致していないと思うのでここでは書かない。ちなみに私はいわゆるエヴァファンではないので監督の世界をリスペクトもしていない。

 

 ただ、庵野監督がリスペクトしていると言われる漫画家、諸星大二郎には同じく評価している。諸星の作品「影の街」に触発されてエヴァンゲリオンが生まれた話も有名である。まだ知らない方は画像検索すると良い。では、諸星は何に触発されてこのシーンを描いたのか?と考えてみた。

 

 街中に巨大な猫背の男の影。おそらく「ゴジラ」だろう。伝説の初代ゴジラだ。ではゴジラは何に触発されて? 恐竜だろう。

 

 しかし、現代の恐竜はゴジラと違って、頭が大きく尾を引きずらない姿が真実となっている。つまり、日本人が好きな頭が小さく尾を引きずるゴジラには全くリアリティが無いのだ。それでも庵野監督は映画ゴジラを引き受けた。

 

 日本中に衝撃を与えた初期のシンゴジラの姿は、これまでの恐竜説を全否定するものだった。いわゆる深海魚のラブカをモチーフにしたらしい。ここから、魚類、両生類、と進化して、恐竜ではない生物という設定にした。

 

 そして「ヤシオリ作戦」が登場する。その名前は古代日本神話のヤマタノオロチに酒を飲ませた故事に由来するらしい。つまりゴジラは特に恐竜にこだわっていないので、ヤマタノオロチのような幻想的大蛇でもある。

 

 最後は神話同様に酒ならぬ血液凝固剤を大量に飲まされて終結する。日本神話では、ヤマタノオロチの尾から「草薙の剣」が出てきて主人公の手に渡る。これは体内に始めから剣があったのではなく、ヤマタノオロチが古代製鉄集団を意味し、砂鉄から鉄剣をつくって大和朝廷に献上したことから出来た話だという。

 

 それではシン ゴジラの尾がアップされて何人かの人が映っていたあれは何か? 「第5形態」で画像検索すると出て来る。ありそうな見方だがどの説にもないので書くが、凝固剤で固まったものだと思う。勝ったヤシオリ作戦と、敗れた彼らの姿があの尾なのだ。で、彼らとはマキ教授ではなく、日本中枢を狙った高度な知能を持った誰かたちであり、尾から操縦していたのだと思う。