草分け中

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通り過ぎたクドカン

 面白かったしずっと目を離せなかった今回の「カルテット」。

 

 詳しい内容は他の感想サイトに譲るとして、結局幹夫は、

 

 妻に内緒で失業し、妻の知らない間に失踪し、浜松でコンビニ強盗し、長野で通報されそうになって縛ったり、落下した女性を湖に沈めようとたり、生き返って逃げられたり、

 

 ちっとも格好いいところのない男性だった。これをクドカンが好演した。しかも松たか子をしてそれでも「抱かれたいの」とすずめの耳元に囁かせる魅力もなければならない。そんなことのできる俳優はいるのか? いない。

 

 脚本全体を概観して本質をつかめる、一見して風采は上がらないが内面に魅力のある、そんな俳優が宮藤官九郎しかいないのだろう。ただ、

 

 離婚して警察に出頭して、終わった。翌日にはもうカルテットが復活していた。

 

 詩集を暖炉に投げるシーンも良かった。だからクドカンは多分もう出て来ない。強烈な印象を残して、

 

 カルテットの間を通り過ぎていった。