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スカッとしない「真田丸」

 真田幸村九度山村を脱出して大坂城に入城した。

 

 城内にはアクの強そうな浪人たちが多数ひしめいている。哀川翔後藤又兵衛役も悪くはないが又兵衛というと漫画でも髭面が多い。

 

 豊臣秀頼の乳母の息子というだけで大坂城の幹部となった無能の大野治長も俳優がうまく演じている。

 

 問題は今日の幸村のセリフだ。「10万人分の兵を養うだけの兵糧が大坂城にありますか?」と幸村から問われた秀頼は治長に回答させる。「太閤様が遺された金銀により十分にありまする」という答えを途中で遮って、幸村は堺を押さえることと徳川方の大坂にある大名屋敷から米を奪うよう進言する。

 

 秀頼は喜び、治長はいまいましく幸村を睨む。

 

 この構図は間違っている。

 

 幸村が兵糧の蓄えについて述べる正論を治長が途中で遮って「十分でござる」としてしまう構図の方が正しい。

 

 合戦を前にしても定説では幸村が述べる軍略を治長がいちいち遮って潰してしまう。こうして読み手のモヤモヤが溜まっていく中で、幸村の冬の陣での出城(真田丸)作戦が当たったり、夏の陣での本陣突入(➡家康退散)で「スカッ」とするのだ。

 

 他局でも現場を知らない上司をギャフンと言わせる話が出る「スカッとジャパン」という番組が人気だったりする昨今。NHKはなぜ今日のような構図で幸村と治長を描いたのか? これでは幸村の方がイヤミ課長である。

 

 今まで大坂の陣を詳細に描くドラマがなかっただけに真田丸への期待が大きく、一般の視聴者からのウケも上々なのはよく知っている。ただ高視聴率にあぐらをかいて本来の真田幸村人気の源泉だった講談や軍記物にも描かれた治長との構図だけは三谷式の独自色に変えず定説を守ってほしいと思っている。

 

 でないと画竜点睛を欠くことになる。