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秀次の悲劇と今後に期待できる条件

 先日切腹した「真田丸」の豊臣秀次が話題だ。

 尾張の百姓の家に生まれながら、天下人になった叔父の秀吉から後継者を期待されて関白に据えられたものの、甥に秀頼が生まれたことから板挟みとなって悩んだ挙げ句、バックれて自決してしまう。

 荒くれ戦国大名が約百年も群雄割拠した時代の最後を、秀次に束ねさせるのは確かに荷が重い。現代も、分不相応な役職について続かなかったケースは少なくないため、「あるある」と共感する声も多い。

 「秀次が可哀想」「もっと身の丈に合った生き方だと幸せだったろうに」という声は確かだが、一方で戦乱の世を終結させる人の条件として何が必要なのか、ということも考えるべきである。現代も混乱しかけているからだ。

 例えば・・・、似たような場面を思い出す。最初にヒーローが荒野に独りでいる場面があったりする。映画「スターウォーズ」、イエス、ブッダモーセなど。

 旧約聖書最大の英雄、モーセは荒野に独りでいる時に不思議な「燃える木」の中に神を見て、エジプトからユダヤ人を全員脱出させよという声を聞いた。

 そこでまた水平思考すると、「近代哲学の父」17世紀フランスのルネ・デカルトも、若い時に体が弱いのに軍隊の中にいて、戦地への野営中、焚き火の火を見ながら近代哲学のキーワードとなる理性に気付いた。

 両者に共通するのは、孤独と火である。モーセの孤独は、ユダヤ人に生まれながら赤子のとき水浴び中のエジプトの王家に拾われ、成人して城を抜け出たところからくる特殊な孤独。デカルトの孤独も、主著「方法序説」を読めば歴然、なんと目の前の全てのものが幻ではと本気で思いかけるほどの孤独。そして燃え盛る火と向き合う。

 火は熱い、溶かす、光る、明るい。

 モーセデカルトも、人々の希望となる新しい何かを得て、立ち上がった。

 話は戻り秀吉も自称「日輪の子」「幼名日吉丸」「母なかが太陽を飲み込む夢を見て生まれた子」だが、若いときは針売りをして諸国を歩き、孤独に火を見ることもあっただろう。やがて信長を主君に、知恵者半兵衛を軍師に、天下を統一した。

 現代においても、一族や縁故採用者ではなく、案外ニートや異端児でジーッと火を見続ける人の中から何か出てくるかもしれない。能年玲奈や、きゃりーぱみゅぱみゅ・・・、都知事選はパッとしないが。