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安全の代償とオバマ演説の矛盾

 日本は世界一安全な国と言われているが、平成14年までは犯罪件数が上がり続けていた。有名な数字だがその年の285万件をピークに今度は下がり続け、平成22年には140万件、近年では更に低い数となっている。検挙率も14年当時は20%でピークだった。

 犯罪件数を下げた要因は、いつまでも昭和の感覚で安全と思い込まず、都市化が進んできた現実を直視して防犯設備の設置に官民全体が前向きになったためと言われている。そして現状では再び、世界一安全な国という称号を得つつある。

 ただし、世界と比較して日本が悪いものも少なくなく、今朝のライブドアニュースでまとめていたものを挙げると、報道の自由度や自殺、少子高齢化、環境汚染、女性の社会進出、マイノリティなどがあった。

 その記事では、良いところを伸ばして悪いところを直すよう締めくくられていたが、他国の多くがその逆な場合、日本は安全を再優先にするあまり、相対的に悪くなったものもあると考えられる。つまり、均一を強いてマイノリティが犠牲になり、報道もマジョリティに偏り、精神疾患からの自殺、とつながってゆく。

 昨日オバマ大統領が広島を訪問して矛盾という言葉を使っていた。科学技術の発達は便利だけではなく大量殺戮兵器をもうむ。核という言葉を銃や銃社会に替えても通じる話だ。一方日本には核の発射台もないし、銃社会でもない。そのような国で治安を保つ場合、話し合いで解決という美辞麗句は表向きであって、裏では報道の不自由による思想統制やマイノリティの排除が行われている。

 第3の道もないではない。つまり核も銃もなく、報道も自由で自殺者が少ない幸福度が高い国。これは、哲学や価値観、社会経済システムを根本的に変えるしかない。