草分け中

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政治状況を悲観する

 再び安倍総理の話だが、彼は保守という科目は出来の良い生徒といえる。保守政治家の家庭に生まれ、交流する人も自民党関係者ばかり、そしてアドバイザーの多くは若手も若干はいれど保守の老齢の人が多いだろう。彼らに気を遣い、採点されながら発言する。だから保育園の厳しい事情を訴える動きに対しても、保守がよく使うセリフをまずは言ったのだ。

 一方、国会前に押し掛ける人々は、主婦層も多いが、中にはそういう手段を得意とする左翼が混じっているはずだ。アスベスト訴訟や薬害エイズ、TPP反対運動、もちろん沖縄基地についても、サングラスを掛けた古いスーツの彼らがけしかけているフシがある。安倍側もそれを前提にしている。

 しかし、発端となった匿名主婦の「中身をみろ」という発言は、左右どちらも含む日本全体への批判なのである。つまり、匿名の投稿の中身を考える習慣がない。中身を見ないからみっともない結果になる。その端的な例が、オリンピックのエンブレム選考問題である。参加条件には、過去のデザインに関する賞を幾つとった人に限るなどと、まるで特定の人に決められてしまいそうな条件を設ける。海外では、デザイン会社を選考する国もあれば、一般人に広く公募する方式をとる国もあるが、日本は極端に密室的である。オリンピック会場の新案が聖火台を常に見える構造になっていなかったという問題も、密室で決めたことがよく分かる。もっとオープンにしていれば、適切な指摘を得られていたのではないか。

 確かに不安定極まりない時代だが、そこで取るべき道が、従来の右や左の伝統的集団に属すというのは、これからも似たような見落としやミスを招くだろう。それよりも、もっと実際の現場を直視できる目線をもって、誰が言ったかや匿名などよりも中身を掘り下げる方が望ましい。もちろん全てが匿名でとは思わないし、対症療法のままではいけない。安倍総理は対症療法的ではなくビジョンを持ってる点は評価でみる。多分しばらくはビジョン型政治家は出てこまい。自民にしろ民主や維新にしろ、今後は何代か対症療法的な総理が出て現実に振り回される。

 党名を公募するような時代では先が思いやられる。